陽の当たらない小路に、すみれの花が咲いていました。
湿った荒れ土の上で、縮こまるようにして。
持って帰って、小さな鉢に植えました。油かすと腐葉土を生け込んだ、豊かな土を与えて。
三日もしないうちに、茎はぴんと伸び、葉は広がり、うつむいていた花は高く掲げられました。目に留まるたびに、心がほっとします。
部屋の中に、すみれの花の、青紫色の香りが漂い始めました。しかし、野の花の香りは強すぎ、鼻がむずむずします。外に出すことにしました。
小さなすみれの花は今、太陽に向かって掲げられています。
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