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『医大へ行くつもりはないので』(300文字)

 茹だるような、真夏の昼下がり。
 雄蝉の歌う情熱的な愛の歌にも負けない元気な声で、彼がいった。

「オレは今小学生で、菜月は高校生だけど、オレが大学生になったとき、
菜月もまだ大学生だから、そしたら、一緒に通えるかな」
「え?」

 あたしは指折り数えてみる。
 あたしが今高1で、彼が小6だから……。

「それって、あたしが浪人するか、留年するってこと?」
「えっ?」

 彼も慌てて計算しはじめ、そして、小さく「あっ」って呟いたあと、
しばらく押し黙り、それから、にこりと笑っていった。

「オレが飛び級するってことで」
「あー、はいはい。おべんきょ頑張ってね」

 茹だるような、真夏の昼下がり。
 雄蝉の歌う愛の歌が、高らかに辺りに響いていた。

        *

そんな二人の恋のお話『はじめての夏』。
カクヨムのすみっこで、ひっそり連載中です。
毎日更新してますので、気が向いたら読んでみて下さい。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882817442

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