「カクヨム」さんにて【隣の葵子さん】の連載・更新を終えましたので後書きを残します。
やっぱり後書きは苦手ですが、裏話的なものとかを書ければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
■ お話について
学生時代に使っていたUSBデータを色々と整理していたら見つけたお話でした。軽い気持ちでデータを開けると、完結していたので先生気分になって読んでいました。
色々と突っ込みどころはあるけれども、雰囲気は何故か惹かれるものがあり、埋もれさせておくなら載せようかな?と思い、今回の投稿に踏み切りました。
次に大変恐ろしい事。
この話、プロットが存在しません。
めちゃくちゃ探しましたがなかった…。
最近は(個人的には)しっかりと練りこみ、着地地点等を決めてから、枠組みを作りこんだ上で長いお話には挑むのですが…まさかの当時一発殴り書きという衝撃です。20万字もよく書き上げたなと感心しつつ、お陰で伏線とか何も回収していなかったので現在の自分は泣きを見る羽目になりました。
覚えていろよ、過去の自分。
お話の中には私の性癖がちりばめられております。「阿部定事件」「カニバリズム」「美人妻」――……。「阿部定事件」についてはご存じない方は一度調べてみるのも良いかもしれません。ただ、「わあっ(真顔)」となる内容ですので調べる際はご注意くださいませ。
作中、意味不明なところや、まだまだ伏線とか色々と回収できていない個所や、至らないところがたくさんあったかと思います。粗削りすぎるところも目に余る程だったかとお察しします。
改めて読み直して考えたのは、この話のテーマはいったい何だったのだろうということ。
後付けで申し訳ないですが、個人的に「愛及屋鳥」ではないかと思います。
■ 彼女の最期
・これに関しては修正・加筆をしている上で色々と悩んだ結果、既に書かれていた描写を活かすことにしました。
たくさん沢山考えました。彼女にはどんな最期が相応しいのだろうと。
首吊り、発狂死、突然の心不全。
首吊りは現実でも起こった死因の一つだったのでリアリティはあると思いましたが、きっと彼女は首を吊ろうとは考えないでしょう。
発狂死は、彼の影に心の奥底にある触れられて欲しくないことに触れられ、暴れまわった末に…と思いましたが、彼女はみっともなく暴れまわり死を迎えないでしょう。
心不全は…いやご都合良すぎー!(自主突っ込み)
となり、結果、舌を噛み切ったことによる窒息死にしました。
現実で考えると、舌を噛み切って死ぬことは運が悪くない限り無いそうですね。あったとしても、本当は出血多量なのだとか。調べて納得はしたものの、やはり彼女には作中での死が相応しいと思いました。
■ キャラクター
登場人物は最初、四季の要素を取り入れた名前でした。
・葵子→春子
・早苗→秋枝
・大輔→冬馬
・芳枝→明日香
芳枝はさて置き、残りは兄弟とか姉妹じゃないんだから似せるのやめろと突っ込みながら変更しました。
次に警察組。強面こと向坂は苗字だけありました。なので下の名前は適当に付けました。中年女性も最初こそ名前はありましたが、特に出す必要もなかったので出しませんでした。最後にちょっと出したけれど。
名前はさておき、それぞれについて。
「千葉夫婦」
・ご町内の誰もが憧れるおしどり夫婦でした。葵子は美人で器量も良く、けれども高嶺の花的な存在――。そんな葵子は夫の夏彦をとても深く愛していました。もちろん夏彦も葵子を愛していました。けれども、愛していたが故に、葵子の愛はとても重くのしかかりだしたのだと思います。だから夫は逃げ場を求めていたのではないかな、と。
愛したが故に離れていく。
愛したが故に裏切られたとわかった瞬間、好きは反転し、感情は暴走しました。
ちなみに二人に子どもは居ません。
「周々木夫婦」
・一番無関係で実は被害者な夫婦。葵子に謎肉の入った肉じゃがおすそ分けしてもらった上に食べましたからね、彼等。若いといっても30代前半の普通の家庭です。早苗は葵子のことを短い間ではあったけれども本当の姉のように思っていた部分がありました。きっとそれは憧れが重なったが故でしょう。周々木夫婦は……特に早苗は、この事件のことを絶対に忘れません。
また、タイトルの【隣の葵子さん】は本当の主人公を指しています。葵子は隣の家に住む人――早苗からすれば「隣の葵子さん」なのです。
「柊芳枝」
・当初、芳枝は交通事故に遭い意識不明のままでそれからどうなった?なまま話が終わっていました。話をまとめる為にも、彼女という人物はいったいどんな過去を送ってきたのか、生きているのか死んでいるのかをはっきりさせるために加筆しました。知り合いの物書きさんに大雑把に話の流れを説明し「浮気相手をぶち殺すか生き地獄に晒すかで悩んでる」と物騒な相談をしたところ、「そこは生き地獄だな」とご意見をいただいたので生かすことにしました。そのご意見をいただいたからこそ、葵子の言葉の伏線も回収できたと思います。ただただ感謝しかありません……私一人ではできていなかった。
恋というのは突然にやって来るもの。一目惚れだと、まるで電機が走ったようになり、言葉では言い表せないくらいに相手を「好き」になると考えています。彼との逢瀬に、恋に、盲目になりました。恋は麻薬です。でも、最悪な過去を忘れさせてくれる、芳枝にとっては最高の処方箋でした。でも、これからの人生きっと彼女は夏彦以外の男性(ひと)とはもう会えないでしょう。葵子が残した最高の罰でこれからまた一人、生きていくのです。
ちなみに……芳枝は20歳になっていません。つまり彼女に手を出した夏彦は「このロリコンめ!」という言葉がぴったりですね。
「警察組」
・特に書くことが思い浮かばないこのチーム(笑)
葵子の死によって世間的には幕を閉じた事件でしたが、彼等にとってはまだ追及できていない真実がたくさんあります。大事なところはずっと笑って黙秘していた葵子だったので、取り調べでは苛々が募ったことでしょう。彼等に課せられた課題は「本当の真実を見つけて語らずにこの世を去った葵子に対して罰を与えること」です。……がんばれ!(他人事)
暗い雰囲気の中でもちょっと笑える要素として組み込んだのが向坂。あだ名のゴリマッチョは当時、飲料水のCMで見かけた覚えがあります。きっとそこから取ったのだろうなぁと推察。
初め、芳枝と同じく腕時計の伏線回収はありませんでした。でもこのまま退場させるには惜しい濃いキャラクター達だし……と考え、こちらも加筆を行いました。
向坂の伯父は自身が理想とする正義を信じ、"自分勝手な行為"をしていました。けれども、彼の母はそんな息子を誇りに思い、何も言わずに手伝っていました。そんな伯父に向坂は憧れ、尊敬し、いつか隣に並びたいと思い今の職に就いています。夢はもう叶えられないけれども、彼がしていたことは世間からすれば間違ったことかもしれないが、向坂にとっては誇りなのです。だから伯父からもらった腕時計は宝物です。
ちなみに中年女性ですが、最初は「多田悦子(ただえつこ)」という名前でした。……女優さんとかにも居そう。
「お気に入りのキャラクター」
・町内会会長の奥様と愛犬ラッキーが推しです。
奥様めちゃくちゃ脇役なのにキャラクター濃すぎるしラッキーが早苗のこと嫌いすぎてて笑いました。
でもこういう人と犬って日常の中にも居そうですよね。「生きている」感じが個人的に好きです。
ちなみにラッキーは面食い犬。
後、名前を付ける際、無料の姓名判断を使わせていただくのですが、なかなか面白かった結果だけざっくり載せます。
・葵子→すべてに恵まれた大吉数。しかし総運は「苦境 浮沈 悲運」
・芳枝→家柄を象徴する画数の運は「薄幸 消極的 孤立」
全くその通りだと少し笑ってしまいました。
書きたかったことは以上になります。
まだ読んでいないけど気になった等、興味をいただいてくださったなら嬉しいです。
お時間のある時にでもどうぞよろしくお願いします。
最後になりましたが、拙作・駄文ではありますがお付き合い頂き誠にありがとうございました。