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旧バイト女子第6話:出没場所はタライの上




「現場と中継でつながりました。リポーターのミユさん。賊はアジトを出たでしょうか?」

「はい。私は現在、ホーンブロウ男爵領の酒場兼宿屋に来ております。ここはギルドも兼ねており、一仕事終わったお客さんがエールで乾杯しております」

「それでそれらしき不審者はいますか?」

「はい。私の目の前で、ガンとばしています。あっ、お待ちください。アッパーが飛んできました。しばらく中継を中断します」



 ……一人芝居ってムナシイわ~
 危ないからメグとユーリは置いて来たけど(ヒョイッ)、この王国のスパイ?(ドカン)これだけ弱かったら安全だったかな?(バズッ)

 フライパン使う必要もなく、避けるだけで自爆していったよ。
 たまに足を引っかけたけどね。


 リーダー格らしい男の首と肩を膝で圧迫して抑え込み、制圧する。
 もちろん一時期やっていた警備保障のバイトの技。年齢偽っていたのがばれてすぐクビになったけど。

「さあ吐きなさい。あなたの雇い主は誰ですの?」

 ちょっとお嬢様らしい言葉になってしまいましたよ。現在の装束は絶対に令嬢には見えない黒で統一されたオフショルダーでニーハイな何か。
 なぜか母様の部屋の奥にしまわれていました。

 やはり「夜」という名前の暗殺者なの?? 子供服だったけど。私に着せる気満々ですね。


「いたたた。放せ、このションベンたれのこどもが……ががが」

「そのいたいけな少女に腕を極められてあがいているあなたは、なんというランクの低い傭兵なのでしょう」

「う、うるせぇ。これでも貴族様からの御指名のあるCランクのパーティだ。今回も宰相閣下の、アウウウ」

 口の軽い傭兵ですわね。

『制圧スキルを取得しました』
『尋問スキルを取得しました』

 ああ、何という事でしょう。またもや二つ同時にスキルを取得しましたわ。やっぱり運がカンストしていますねぇ。たった一度の実戦でスキルが生えるなんて。


 連れてこられた宿屋の裏口は放置プレイに絶好の場所。宿屋のご主人におねだり(恐喝とも言う)してロープを入手。三人いた賊を縛り上げた。
 あとで父さまにお知らせしてきちんと尋問していただきましょう。


 でもやはり王国の手のもの、というよりトカゲのしっぽとして傭兵が雇われて、多分ですが村人をかどわかしていたのですわね。
 酒場で多くの人に酒を奢って手なずけていましたから。


「お嬢様。これ以上は……わたくしがご主人様に叱られて放逐されてしまいます」

 私の専属メイドになったターニャがびくびくしながら私にストップをかけて来た。そんなことでは帝国軍航空魔導大隊を指揮できませんよ!



「作戦会議中につき面会謝絶」という札をかけて自室に籠っていますミユ八歳です。

「ふ~ん。ビンゴね。宰相のエルンタールが動いているという事? でも、やけにあっさりと情報が入手できたわよね~。陽動の恐れありね」

 私専用のテーブルの上に置いた私専用の洗面器、そこにターニャが私にと置いて行った水が張ってある。さっきのお遊びで大分顔が汚れました。

 その上空高度1/2メートルの所にふわふわと浮いているちっこい女神。
 なんでも(海)水の女神だから水の上でないと出現し辛いらしいよ。

「ソリリン。王国には暗部とか諜報機関とかってあるの?」

「なによそのソリリンというのは。いまいち可愛くないなぁ。ティアと呼びなさい」

 時間が惜しいので仕方なくティアと呼ぶことにする。もっとおちょくってやろうとしたのに。


「諜報機関はあるわよ。でもそこには手が出せないの。あのエレーナの力が強くて」

 まあ、そうですよね。
 ヒュミント(人的情報源)を、すぐつき留められて潰されそう。
 ということは情報関連は打つ手なし?

「ここは経済力と兵力の底上げをしないと。経済力がないと民衆が寄って来ない。すると私の力が強くならないから、軍隊も強くならない~」


 こう言う状況を、人はじり貧と呼ぶ。
 なにかガツンとした裏技を使わないと、このデスループから抜け出せませんよ。

「それで相談なんだけどね。妹さん。あの子めっちゃ数学《《だけ》》は優秀よね。これを民衆に無料で教えるよっと。それを口先の魔術師見習いの弟ちゃんに宣伝させるのよ。我ながらグットアイデア~」

「ちょっと。そのアイデア、重大な欠陥がアリアリだわよ。たった四歳の子の口車に乗ってくるアホをどうするちゅうんじゃ?」

 小駄女神は空中で浮かびながら、あぐらをかいて考えている。おい、大事な所が見えるぞい。

「ちょっと備蓄してある予備の魔力使っちゃうけど、二人の体を大人にしてあげましょう。一日三回。食前食後にお使いください的なスキル。酒場とかで人集めして、こっちにしょっ引いてくるの」

 とんでもねぇ女神だなぁ。

「でもそれには修行が必要よね。スキルがあってもランクが上がらないと成功しないから。3か月くらいでいいからスキル上げしてみてね。レベリングも兼ねて」

 そう言うと海水駄女神は消えていった。
 スキル上げの方法とか、教えてくれるのが鉄板のような気がするけど。しょっぱい女神だよね。


 さて明日から三人でスキル上げだね。
 お姉ちゃんも頑張るから、二人もついてきなよ。三人で安住の地を作るんだ!





自分としては絶対にこっちがいい!

でも今回の目的は「PVを取るための実験」なので可能性のある作品を書きます。
自分で書いていて「おげげ」となるものですが、これと比べてカクヨムの現状をお知りになられるのも一興かと。

ま、まあ、改訂版がヒットするとは限らないしww

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