本来、硬貨そのものが価値を担保する必要性がある。
しかしそのせいでマネタリーベースどころか、マネーストックすら賄えずデフレになっていた戦国時代。
これに「鉄という絶対必要な消費財を大量生産する」ことによって『信用創造』をしようとした大胡。ですが、西国までその信用が行き渡らなかったわけです。
銭と鉄、それから銀と金の交換比率ですがとてもややこしいです。
金については甲斐武田で使われたこのもう少しあとの制度が江戸時代まで使われます
両=金4匁なし4匁2分=10貫文(1593年)というデータで計算するしかありません。
分=1両の4分の1
朱=1分の4分の1
朱中=1朱の2分の1
糸目=1朱中の2分の1
小糸目=1糸目の2分の1
小糸目中=1小糸目の2分の1
1貫がほぼ1匁だから金4貫半が銀100貫。
金銀の交換比率は約20:1。
銀が安い。だから明や南蛮が持って行くわけだ。
でですね、なぜか銀10貫が1貫文なんですよ!
鉄は1貫文で5貫しか買えません。
鉄って銀の倍するんじゃね?
これ国立歴史民俗博物館のデータベースなんですよ。マジ物のデータ。
大胡が鉄の大量生産するから半値以上値下がりするとしても需要がその分で出れば『銀作っている』ようなもんです!
今更気づいた、重大事実。俄然この物語の金融的信ぴょう性が出てきた。塩より兌換価値あるじゃん。
(元朝で発行された世界初の紙幣は塩で裏打ちされていた)
大胡の高炉の数は考えていないのですが、最低でも年間2000トン=50万貫位は作っていると思うので年間25万貫文の生産高。25~50万貫も銀生産している計算に!
まさに錬銀術師の国、大胡!
『鉄の錬銀術師!』(脆そうだな、オイ)
あ、首取るからちょうど弟みたいでいいかも。今度西洋鎧作ろっと。
説明があまり長くなると冗漫になるのでコンテスト向きではないと判断し「なろう」版での説明を削っております。
この当時、不換紙幣が登場しておりました。伊勢神宮に置いてその信仰を担保としたものです。1600年には出回っていたのが確認されています。
このことから示される通り日本人の神々に対する畏敬の念は大きなものです。また大胡の技術力は紙幣の紙の質ばかりでなく(紙もこの当時高いです)、印刷技術もあります。活版印刷術を持っているのは大胡だけです。楷書を使うのも大胡だけ。
世界初の兌換紙幣は元朝が発行した「統鈔」というものです。
この説明は省きます(WIKIなどを見てください)が、明でも発行されてインフレを起こします。ですがインフレとは決して悪いものではありません。デフレが怖いのです。インフレは生産力の増加を伴うものであればよいのです。そのために大胡は鉄という「生産力が増えれば必要性が増す」ものを兌換できるとしたのです。
現代で言うところのマネタリーベースの調節を出来るようになっているわけです。ほぼ中央銀行の役目と権力を握ろうとしているのですね。
これ握られたらもう誰も手出しできません。あの「最後の首」以外は。
なのでストーリー上、ここで完勝するわけにはいかないのです……
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