――今、なにか書こうとすると愚痴になりそうで……。
マンションの外壁補修工事が佳境にさしかかっています。
歩くとカンコン鳴る足場と黒いシートですっぽりと囲われ、秘密と悪の匂いが漂います。
こうしているだけで、世界を征服する野望が膨らみます。
誰か遊びに来たら「飛んで火にいる夏の虫」と言える絶好のチャンスです。
でも、この秘密基地には洗濯物が干せない。
いつまで部屋干しすればいいんだ。湿気と閉塞感がもやっとする。わたしは外で闘いたい!
深海魚のデメニギスみたいな目つきになってる気がする。あんなに可愛くないけど。わかってるけど。
――ほら、やっぱり愚痴だ。これ。