(ファンボックスに載せたものと同じ内容です)
フィン感で用いている総合点・方角の見方についてご紹介します。
●総合点
作品によって満点が異なるのが特徴ですが、見るべきポイントは三つです。
1:得点
80/100の80のことを指します。数字が大きいほど優れています。
大雑把に言えば、その作品で発揮された筆力。
その作品がどのくらい面白かったか、と考えてもらっても構いません。
他の作品と比較する際に有用で、相対的な完成度として捉えることができます。
これを伸ばすには様々な小説技術を磨くことが推奨されます。
2:満点
80/100の100のことを指します。数字が大きいほど優れています。
大雑把に言えば、その作品が持つ可能性。
その作品がどのくらい面白くなりうるのか、と考えてもらっても構いません。
この数字が大きいほど、フィン感の内容が高度になる傾向があります。
これを伸ばすには着想や構想を磨くことが推奨されます。
3:差分
80/100の100-80=20のことを指します。数字が小さいほど優れています。
大雑把に身えば、その作品における作者の到達点。
その作品の面白さをどれくらい引きだせたのか、と考えてもらっても構いません。
他の作品との比較ではない、絶対的な完成度として捉えることができます。
フィン感では、この数字が大きければ指摘がち、小さければ褒めがちになる傾向があります。
これを伸ばすには小説技術は勿論、その作品への追求心を高めることが推奨されます。
と、三つのポイントをご紹介しました。
「得点」と「満点」は把握していたが、「差分」を把握していた方は少ないのではないでしょうか。
これを踏まえたうえで、いくつか例を挙げます。
・80/100と80/105
ぱっと見た感じ、80/105のほうが優れているような気がします。
確かに「満点」は80/105のほうが高いので、こちらのほうが作品が持つ面白さの可能性は大きいかもしれません。
しかし「差分」で見ると前者は20、後者は25と前者のほうが優れており、前者のほうが作品の完成度は高いとなります。
ですので一概にどちらが優れているとは言えません。なお後者のほうがフィン感は高度かつ指摘がちになる傾向があります。
・100/130
ぱっと見た感じ、すごい作品のように見えます。
類稀な着想が使われている作品である場合があり、「満点」の高さはもとより、着想に引っ張られるかたちで「得点」も高くなっています。
しかし「差分」を見ると30と非常に大きいです。「差分」だけなら70/100の作品と変わりません。つまり技術と着想のバランスが悪いのです。
そのためフィン感は面白さを認めたうえで、大量の指摘で埋めつくされているかもしれません。
こういった作品・作者は完成度を高めて「差分」を小さくすることが求められます。
・100/100
ぱっと見た感じ、完璧な作品のように見えます。「差分」が0ですから、全てが褒められそうに思えます。
しかしこの作品は、その作者の筆力を受け止められるだけの着想を得られていない可能性があります。その作者の技術なら105も110もとれるのに、着想が平凡なために100止まりになっている可能性があるのです。つまり技術と着想のバランスが悪いのです。
こういった作品・作者は着想を磨いて「満点」を伸ばすことが求められます。
「差分」は0ではなく5が理想的であると考えています。
(なお定期更新を行っている作品の場合は、110とれる実力で100をコンスタントに出すというのはとても大事なノウハウです)
以上が総合点の見方です。自作へのフィン感の捉え方、他者作の感想の見方にお役立てください。
(※飽くまでフィンディル個人の主観で点数をつけていますからね!)
●方角
フィン感では、書いた作品に十六方位で方角を記しています。
この方角は、その作品の面白さの方向性を表したものです。
北:大衆的
多くの人に広く届く面白さを目指した、読みやすく、わかりやすい方向。
展開や構成などの技術を巧みに使い、作品の面白さを盛りあげます。
賞を受賞したい、多くの人に評価されたい、人気作になりたいのならば、北北西と北北東の間を向いていることが推奨されます。
西:昇華的
誰か(作者含む)の心に深く届く面白さを目指した、内面をそのまま抉りとったような方向。正負含めた心のエネルギーを創作にぶつけたような作品。
展開や構成のお約束を排し、リアルや余韻を追求し、昇華を経た作品も少なくありません。
昇華を経ていなくても、展開や構成のお約束を排した非作品的な作品は西に近づきます。
東:実験的
誰か(作者含む)の創作欲求を深く満たす面白さを目指した、独創性に尖った方向。
創作の新たな可能性を追求した、新規性に富んだ手法や構造の作品。
創作の面白さを再構築することが多いため、一般的な小説技術は敢えて排除されることが珍しくありません。
南:抽象的
何かに届くかもしれない面白さを目指した、感性が赴いた方向。
技術や理屈ではなく、感覚と観念が生みだした作品。
展開や構成などの小説技術はもとより物語要素すら除去し、文章や文体そのものに意味や価値を見出すことが一般的です。
以上のように東西南北に創作の方向性を配置し、それを十六方位で表現したものが作品の方角です。
ほとんど全ての小説は北西と北東の間90度(北西北東内)に収まっており、多くの方はこの範囲外(北西北東外)の作品を「意味や面白さがよくわからない(から面白い・からつまらない)」と判断します。
そのため公募や評価機会に恵まれた北西北東内の作品に対し、北西北東外の作品はまともに感想すら受けとったことがない作品がほとんどです。感想書きに応募してもろくな言葉をもらえないでしょう。
そんな北西北東外の作品をしっかりと受け止めて評価をし指摘をする。それが「フィンディルの感想」の存在意義のひとつであるとフィンディルは考えています。
まともな感想をもらったことがない北西北東外の作品に“一生ものの感想を”という意志を、「方角」の表記にこめたいと思います。
「方角」の活用方法ですが、そのフィン感がどの程度参考になるかという尺度になります。
方角の違う作品へのフィン感は、評価基準が全く異なるため、指摘などの感想内容も全く異なります。ですので参考に適さない可能性が高いです。
たとえば普段北向きの作品を書いている作者は、西向きの作品への感想を参考にしてはいけません。
また「自分は面白いと思わなかったが、フィン感では何故か高評価だ」と不思議に思われた場合は「方角」を参照してみてください。他の作品と向いている方角が大きく違う場合があります。
(なお同一作者の作品達の方角の間が最大90度以上離れていると、「創作の幅が広い」とフィンディルは判断します)
(※飽くまでフィンディル個人の主観で方角を設定していますからね!)
以上、総合点と方角の見方でした。役立てていただければと思います。