つわものたちは江戸の夢で切腹を描きましたが、切腹のリアリティについても頭を悩ませました。
実際に、切腹を行って生きてる人、立ち会った人で存命な人はほとんどいないわけですから。
三島由紀夫が作法に則って切腹したそうなので、その切腹に立ち会った人なら、リアルをご存じかもしれません。
(切腹の際、介錯に失敗し、大変なことになったようですが…)
話しは唐突に変わりますが、私は毎月落語の師匠に落語を習っております。
落語には、四段目という演目があります。
歌舞伎に夢中で、仕事をサボって歌舞伎を観に行った丁稚奉公の少年が、罰で蔵の中に閉じ込められている間に、歌舞伎の仮名手本忠臣蔵の四段目を再現して遊ぶという噺です。
この四段目が、塩冶判官が切腹をするシーンなのです。
落語四段目の稽古するため、映像で歌舞伎の四段目、切腹のシーンを繰り返し繰り返し観てみました。
そうするとことで、切腹の作法、段取りがわかり、自分自身が納得のいく切腹のシーンを描くことができました。
もちろん、歌舞伎もお芝居ですからリアルな切腹ではないかもしれませんが、あまりリアルに描くとグロくなるのでちょうど良かったと思います。
そもそも、作品にリアリティが必要かどうかは、作品ごとに違いますよね。リアリティがなくても面白い作品は山ほどあるわけですから。
頭の中に世界を構築できて、作品としてアウトプットできている、読者がその世界を楽しんでいればすべて良いわけです。
リアリティが必要かどうかはその時々で判断し、あまりリアリティにこだわってつまらなくならないように気をつけたいと思っています。
つわものたちは江戸の夢 第一部
https://kakuyomu.jp/works/16817330669442740548