狼二世

西暦２６０５年　地球近海の宇宙。 核パルス推進エンジンの火を吹かせ、地球へと落ちようとする巨大な物体があった。 大地へと落ちていくのはスペースコロニー。 より遠く、より広く、…

西暦が終わった日、太陽は人類に牙をむいた。 天の光にすら見捨てられた人類は、それでも生きることをあきらめなかった。 遺された希望は、星の海を往く鉄の船。 青い星を背にして、長き…

通信技術が発達した未来、戦場の主役は、人間が直接乗り込んで操縦する戦車や、生身の兵士ではなくなった。 戦闘用ドローン。 それらは、誰にでも無線環境を提供した企業の名にのっとり、『…

※ 現代仏教においては仏陀(仏の悟りを開いた者)は一人だけとされていますが、将来的にはあり得るかもしれないと仮定して許して下さい。

『迷宮病』 自らの心に生まれた『迷宮』に吸い込まれ、この世界から消えてしまう病気。 田舎町『藍世町』で兄とともに穏やかながらも豊かな日々をすごす少女、『鏡峰マオカ』は親友が『迷宮…

『秘密の部屋』に入る方法は簡単だ、駅前の廃ビルの二階、朽ちた内装とは対照的な真新しいホワイトボードに丸を記すだけ。そうすれば、案内状が届くから。 さあ、好き放題物を言おう。誰も私…

――つまらない人生を生きて来た人間は、つまらない死に方をする。 死の間際に脳裏によぎった言葉は、誰のものだっただろう。 その言葉の通りに、本当に甲斐のない人生と死だった。

佐藤雄一はIT企業に勤務するごく普通の青年。 プロジェクトの合間に、長らく帰っていなかった故郷へと帰省した。 田舎町で彼を待っていたのは、学生時代と変わらない故郷の穏やかな景色…

ここは人類最後の楽園、常夏の島。 この島は南国でなければならない。 この島に住む人間が、南国の民でなけばならない。

夜だけが続く世界にぼくは生まれた。 いつか太陽がお休みから目覚めるとき、世界に朝が訪れるらしい。 その時、ぼくはどこに居るのだろう。 出来るなら、あの眩しいお月さまと一緒に在りた…

　――子供の頃、巨大な人型ロボットなんて空想上の存在だった。 　――子供の頃、戦争なんて遠い世界の話だった。 　――子供の頃、自分が特別な才能を持ったパイロットで―― 　――戦…

薄暗いライブハウス。 お世辞にも豪華と言えないステージ。 だけど、私の心は確かに動いた。

アーティスト志望(実質フリーター)だった俺は、ある日命を落とした。 最高にダサい死に方をした俺に待っていたのは、絵にかいたような女神と、一つの取引。 「汝、異世界で吟遊詩人にな…

アタシを見て彼女は言った。オオカミみたいなボサボサ髪だからカミさんだって。 彼女を見てアタシは言った。まん丸メガネにまん丸な瞳。まるでタヌキみたいだからタヌさんだって。

私はアンチだ。 だけど、それはアイツが悪いからだ。 私は間違っていない。 だから、一人でも戦い続ける。

その日、俺は絶望した。 大好きで追いかけていた純愛漫画がまさかの寝取られ展開で終わってしまった。涙すら出なかった。 だが、気が付けば俺は件の純愛漫画の世界に転生していた。 なら、…

二十歳になった。 お酒を飲んだ。 不味かった。 もう、思い残すことはないかな。 なら、死んでもいい。

乾いた大地の上で、私たちは生きている。 なぜ私たちはここにいるのか？　どうやって生きていけばいいのか？ 教えてくれたのは神様――の言葉を預かった預言者たち。 そして、その教えを守…

西暦にして２０××年。突如、世界中のスマホにメッセージが届いた。 送り主は異世界の女神。届いた声は勇者たちへの願い。彼らに託されたのは、スマホを通して世界を救う『アプリ』――通称…

私には嫌いな人が居る。 誰もが認める美少女。ただ立っているだけで視線を集める注目の人。 本当に、大嫌いだ。

男が居た。 男は世界で一番魅力的な存在を知っている。 けれど、まだ彼の頭の中にしか存在しない。

"おうち"の外には『雨』が降っている。 『雨』がやむまで、わたしたちは"おうち"時間。

その少年――町を歩けば女神に土下座をされる。 絶世の美少女が、少年に土下座をして頼み込んでいる。道のド真ん中で。 周囲からの突き刺さる奇異の視線。その真ん中で困惑している少年。…

かつて、魔に魅入られし魔王が居た。 圧倒的な力で暴虐の嵐を巻き起こし、世界を恐怖に陥れた生きるモノの敵。 それをうち滅ぼしたのは女神に祝福された勇者―― とまあ、よくある昔話。…

『迷宮』が意志を持ち、世界を侵食する。 神は人々に『勇者』と呼ばれる祝福を与えて旗印とする。 死を超越した勇者と、それを支える戦士たちは、今日も生きて行く。 街に吹く風と賑わい…

　ここは、地底に広がる世界。泥水と茸ばかりが広がり、空も見えないこの世界には伝承があった。 　『世界の中央にそびえ立つ塔を登りきれば、空が見える』 　事実、塔は存在する。けれど伝…

――アタシの恋は、自覚する前に終わっていた。

ただ生きているだけの少女は、少年と出会い、戦うことを決めた。 絶対絶命の時、それを助けたのは――勇者であった。 これは、勇者に託された一日だけの奇跡。 異世界からの、たった一度…

サバンナの大地は広く、雄大で、そして、少しだけ厳しい。 カバは、それを見守っている。

ボスのお話です。 まさか、見始めた時はボスにここまで入れ込むと思いませんでした。