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【魔導士物語】第三話「破邪の剣」を掲載しました

https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/822139842081104004

そんなわけで、第三話「破邪の剣」です。

※以下の話は次回に出てきますので、ネタバレが嫌いな人はブラウザバックしてください。

シドの先代、蒼龍帝フロイアはその美しさと強さで、蒼城市民から熱狂的な支持を受けていました。
その点では、のちに赤龍帝になったリディアも同様なのです。
ただ、リディアの場合は、赤城市民から「姫さま」と呼ばれたことでも分かりますが、可愛らしい見た目(性格は真逆)による評価です。
フロイアは小柄なリディアと違って、とても背が高く短髪で、男装を好んでいました。鎧姿のアスカが常につき従ったので、二人は特に女性から宝塚的な人気がありました。

男まさりのフロイアは、あらゆる武芸を好み(特に格闘術、中でも関節技のスペシャリスト)、アスカを相手に指名して、ほぼ毎日激しい稽古を重ねていました。
剣術と槍術ではアスカが優勢で、弓術は互角、格闘術ではフロイアの方が圧倒していました。総合するとアスカの方がやや優位ということになるのですが、お互いがよいライバル関係でした。
ところが、現在の蒼龍帝であるシドは身体が虚弱で、アスカが相手では殺されかねません。

そのため、脳筋のアスカの相手がいなくなったように見えましたが、ちょうどフロイア帝の晩期に、プリシラが副官として配属されたのです。
ノルド人の血を引くプリシラも大柄で、武術も得意なのですが、さすがにアスカには敵いません。
ところが、彼女の幻獣であるタケミカヅチは、東大陸で「武神」として信仰されてだけあって無茶苦茶に強く、逆にアスカの方が子ども扱いされました。

気真面目で稽古好きのアスカは奮起し、暇さえあればタケミカヅチに稽古を申し入れるようになりました。
彼女の目標は、この武神から「一本を取ること」でした。
そのため、アスカは様々な工夫を凝らした技や戦法を考え、不屈の闘志でタケミカヅチに挑み続けました。

特に娘のセシルが幼年学校に入学して寄宿舎住まいとなると、彼女の情熱のすべてがこの勝負に向けられ、家に帰るとアスカは「心ここにあらず」といった状態に陥っています。
気の毒なのは夫のゴードンで、就寝中にアスカに起こされ、庭に引っ張り出されて彼女が思いついたアイデアの実験台を務めさせられることがよくありました。
ゴードンの方は、溺愛するセシルがいなくなったことで、そのあり余る愛情を妻のアスカに向けようとしたのですが、それも拒絶されてしまいました。
意外なことですが、アスカはベッドの中では非常に従順で(どちらかと言えばM属性)、夫に求められてそれを断ったことがありませんでしたから、これはゴードンにとって二重のショックです。
親として愛娘を失い、男として愛妻を奪われたのですから、同情すべきでしょう。

一方のタケミカヅチは、飽くことなく挑戦してくるアスカを、初めのうちこそ軽くあしらっていたのですが、だんだんそうはいかなくなってきました。
毎回入念に準備してきた新工夫を、初見で退けるのが怪しくなってきて、結構いいところまで攻め込まれることが多くなってしました。
そうなると、アスカの方はますます熱が上がり、通常の技の切れ味まで向上してきます。

彼女は女ながらに、王国随一の武人という評価を二十年以上も独占してきた人物です。
力、技術、速度、体格に至るまで、並の人間を遥かに凌駕していて、タケミカヅチも彼女に一目置かざるを得なくなってきました。
タケミカヅチは身長三メートルの巨人ですが、人間形態なので普通に会話ができます(召喚時にプリシラと魂が融合して記憶が共有されるため、中原語を母国語のように話せる)。

ただ、もとは神様な上、見た目が恐ろしくいかついので、第四軍の士官たちも近寄りがたく、ましては兵士は彼の巨体に気づくと逃げ隠れする始末です。
そんな中で、毎日のように剣を合わせるアスカとタケミカヅチは自然と仲良くなり、召喚士のプリシラを除くと唯一の信頼・友情関係を構築しています。
アスカが今回の文中で、タケミカヅチを「タケ」と呼んでいるのには、そんな背景がありました。

そんなわけで、次回はエイナが口頭報告を行い、タケミカヅチとも面会する予定です(あくまで予定ね)。どうかお楽しみに!

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