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小説の解釈について

 小説というものは、ある世界のある時間、またその一部を切り抜いたものだ捉える事もできると思います。その物語が事実であろうとなかろうと、読者の頭の中にはある情景が浮かび、会話が聞こえてくる。その時読者はその世界の一部を覘いているのです。
 しかし、同じ小説を読んだからといって、すべての人が同じ世界を覗けるわけではありません。小説が表現できる事は限られていて、ある言葉から引き出される記憶は人によって違うからです。それでもある程度共有できる部分はもちろんあると思います。つまり、小説が表現する世界というのはある意味あいまいな世界なのです。
 では、読者はこのあいまいな世界をどのように捉えたらよいのでしょうか。僕は多数の人に共有できる部分だけがその小説の真実ではなく、一人ひとりの個性的な解釈もその小説が持っているものだという意見もあってよいと思います。もしかすると作者の思いもよらないような素晴らしい読み方があるかもしれません。ある一定の事だけを表現したい作者にとっては不本意かもしれませんが......。
 小説というものはそのあいまいさゆえに、たくさんの可能性を秘めたものだと思います。一冊にいくつもの世界を含んだ多次元的物語というのも悪くないかもしれませんね。

2件のコメント

  • 漫画やアニメなどとはまた違いますよね。小説は絵も音もありませんから、ある意味、受け手に伝えられる情報の種類が限られています。でも登場人物の心象風景や心理描写をこれほど書きやすい媒体もまた他にないんですよね。物語を深く掘り下げやすい。
    作者が思い浮かべた風景と、読者が思い浮かべた風景は似てるかもしれないけれど、同じではない。
    そこに小説の魅力が詰まっていると、僕は思います。
    ……長々とすみません(汗)
  • コメントありがとうございます。
    長文は大歓迎であります。

    確かに時間的束縛がないという強みはあるかと思います。
    一瞬の場面にに多くの心理描写を入れても違和感なく解釈できるのは
    代表的な例でしょう。これからも小説の魅力や可能性を探求して
    行きたいものです。
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