「雨だあ」
「雨苦手なの?」
「いや、割と好きよ?」
「えぇ? ジメジメするやん」
「そこはまぁ、ヤだけど」
「じゃろ?」
「でも雨音は好き。落ち着くし」
「ああ、音はね」
「でしょ?」
「でもさ、雨の日って気分悪くならない?」
「ああ、低気圧が影響するとか聞くね。ワシは大丈夫やで」
「そっか~。これは同じ体質の人じゃないと分からんよね」
「なんかごめん」
「雨の日は音楽を聴きたくなるよ」
「そんなもん?」
「昔は雨の日にアルバムをよく聞いてた」
「それって晴れた日は聴かなかったって事?」
「子供の頃はね」
「へぇ」
「今はいつも作業中BGM流してっけど」
「雨と言えばカエルの合唱だよね」
「梅雨時とかはね~」
「そう言えば蛙の声が騒音だってクレームの話があったけどさ」
「アレって、その土地に来て浅い人だったのかな?」
「どうなんだろ? でも無粋だよね」
「除夜の鐘がやかましいとか幼稚園がやかましいとかそう言う人かな~」
「そう言う人はセミもやかましいとか言いそう」
「言うね~。セミはマジで大音量だし」
「カエルの合唱は好きだよ」
「風情があるよね」
「雨も音関係で嫌って声はあまり聞かないよね」
「あまりってか、全然聞かないよ。雨はあのジメジメが嫌なだけだから」
「外出する時はワシも憂鬱になるわ。室内にいる時限定やね。雨が好きって言うのは」
「移動は車? バイク? 自転車? 徒歩?」
「バイク」
「雨でバイクは面倒くさいよね」
「うん」
「合羽移動でしょ。駐輪場で着たり脱いだり」
「靴も脱ぎやすくて履きやすいのじゃないと」
「じゃあ紐靴は履けんね」
「履きたくはないね~」
「て言うか、雨の日の移動がね。水たまりもあったりするし」
「あでも、傘さして歩くのは結構好きかも」
「え~」
「そりゃ大雨や雨風だったら歩きたくないよ。でも小雨の中を傘して外を歩くの、結構好きなんだ」
「雨の日はずっと家にいたいよ」
「雨の景色も風情があるのに」
「家の窓から眺める雨の景色は嫌いじゃないよ」
「カタツムリとか紫陽花とか」
「そう言えば、カタツムリって見かけなくなってない?」
「そっちも? こっちも全然見ないよ。ナメクジは割とよく見るのに」
「不思議だよね。殻のある方が強そうなのに」
「夜の雨ってどう?」
「怖い」
「それは外を移動中の話でしょ」
「うん」
「夜の雨の雰囲気ってよくない?」
「都会と田舎でも違うかな。都会の夜の雨はなんかいいかも」
「なんかドラマを感じちゃうよね」
「田舎だとさっきのカエルの鳴き声のイメージに」
「牧歌的だよねえ」
「そっち雨大丈夫?」
「降ってないよ」
「場所によって大雨って話だからそうならないといいね」
「昔は梅雨に大雨のイメージなかったのにな」
「いつの間にか大雨のイメージになってどこかしらで被害が発生してるよね」
「温暖化の呪いじゃあ」
「犬神様の祟りじゃあ~」
「雨音は落ち着くから今夜は安眠出来そう」
「カエルも鳴いてるし?」
「そうそう。カエルの鳴き声は安眠装置だよ。騒音だなんてとんでもない」
「じゃあお休み~」
「またね~」