ゆっくりとゆっくりと時間は巡る
空の色はどこまでも灰色のままで
銀の魚が表情を変えずにゆったりと泳いでいく
沢山の魚がビルの間をすり抜けていく
かつて山だった場所
かつて街だった場所
古代の祭祀場
もう誰も覚えてはいない
空に浮かぶ船は痕跡を探している
かつて先祖が試した楽園の計画
失われた文明は欠片も残さずに
水は全てを元に戻していく
波紋が広がっていく
時間の止まった滲んだ景色にも
揺れる光は生命を優しく抱きしめている
もう一度 もう一度
魚の群れがひとつの意思を提示して
砂時計はもう一度ひっくり返される
透明な海はゆっくりと世界を巡る
少しずつ新しく始まっていく
空に逃げて
地下に逃げて
宙に逃げて
そこに未来はあったのかしら
大いなる慈悲がチャンスをくれる
やがて用意された島が現れる
灰色の空からはしごが降りてくる
そんな夢を見ていた