• 現代ファンタジー
  • 異世界ファンタジー

真夜中の行方不明

 ゆっくりと漂って
 気配の中に溶け込んで
 まどろみの中でまばたきする
 いくつもの光が乱反射する

 静かな山々は寝息を立てて
 お月様がじいっと眺めている
 夜の生き物たちは息を潜めて
 動き出すタイミングを見極めている

 心の振動が安定するから
 こんな静かな夜は好き
 キラキラと言葉が降りてくるから
 僕はやさしく抱きしめるんだ

 電信柱の街灯
 風のない闇
 スポットライトで踊る見えない人
 無数の宝石が夜空を飾る

 夜行性の目が気配を消して
 僕は見つけられないでいるよ
 こんなに寒いのにどこかにいるね
 僕は見つけられずにいるよ

 星間通信のアンテナの調子が悪くて
 僕はチャンネルを合わせられずにいる
 どうしたら未来の景色が見られるんだろう
 見上げても流れ星さえ分からないまま

 ふんわりとしたやさしさが
 知らない間に心の中を支配する
 時間の小舟はもうとっくに流れていった
 ああもう何もかもどうでもいいんだ

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する