カクヨムで公開されている小説を読んでいると、こんな描写必要なの? って言うくらい細かく描写をしている作品があります。本筋とは関係のない豆知識だったり、わざわざ説明するまでもない日常の行動の細かすぎる描写だったり。読んでいて削ってもいいのになと思う事もたまにあります。
言うまでもなく小説は説明の積み重ねで成り立っています。説明に説明を重ねて読者の脳内に情景を想起させる芸術です。だからこそ描写と言うのはとても大切な要素ではあるのですが、何事もやりすぎはよくありません。
小説は語ろうと思えば延々と語ってしまえます。言葉に言葉を重ねて、細部に渡っていくらでも文字数を稼げてしまいます。読む方としては余りに延々と語られると疲れてしまいますよね。だから小説では不必要な部分をどれだけカット出来るかも大事だとされています。カットセンスを磨くのは上達の第一歩でもあるでしょう。
このいくらでも語れる小説ですが、逆に言えば敢えて描写しないと言うのもまたテクニックではないでしょうか。記述トリックが成立するのも小説だからこそと言う気がします。描写を工夫すれば、主人公の性別すら最後まで曖昧に出来ます。それどころか、最初から主人公は存在しなかった、と言う事にも出来るでしょう。
普通なら描写をするべき部分を全く描写しない事で読者を欺く、特にシュールな作品を書く時はこのテクニックが大活躍するような気がします。描写しないテクニック、この技術も磨いていけたらいいな。