昔々、突然現れた鬼が村を荒らしまくりました。鬼はひとつの村ばかりでなく周りの村を手当たり次第に襲いまくります。お陰で周りの村はすっかり荒れ果ててしまいました。
鬼は強く、村人もお役人も全く手が出せません。最終的に鬼の被害の出た村々は見捨てられていきました。
そんな中、ある村では桃太郎と言う若者が鬼退治を買って出ます。桃太郎の活躍は周辺の村に希望を与えました。
しかし鬼もまた負けてはいません。桃太郎と鬼との戦いは簡単に決着が付くものではなく、長引いていきます。
桃太郎の生まれた隣の村でも桃太郎に加勢すべしと、多くの若者が旅立っていきました。村の若者が減ったその時、運悪く鬼の団体が村を襲います。結局その村はまたしても作物等を奪われてしまいました。
やがて桃太郎軍の勢力が鬼の勢力を上回り、鬼ヶ島の鬼の砦は壊滅します。
しかし、それで鬼が全滅した訳ではありませんでした。桃太郎の快進撃に恐れをなした一部の鬼が、桃太郎が鬼が島に上陸する前に逃げ出していたのです。
這々の体で鬼達が辿り着いたのはその隣村でした。村には数人の男達と老人と子供と女達しかおりません。
鬼達はこれ幸いとこの村を第二の拠点にしようと制圧を始めます。村人達は為す術もなく襲われ続けました。
そんな中で一部の鬼が襲われる村人達を見て反旗を翻しました。鬼達を襲う桃太郎を見て、自分達も同じ事をしていたのだと悩んでいた鬼が己の行動を反省したのです。
裏切り者の鬼の出現で同士討ちが始まり、戦いは混迷の一途を辿ります。戦いは三日三晩続きますが、その内鬼ヶ島陥落の報が鬼達に届き、いずれは自分達を殺しにやってくると怯えた鬼達はすごすごと村を後にしました。
こうして村は鬼を追放する事に成功します。村人と協力して鬼と戦った正義の鬼達は村人達から歓迎され、ずっと村に残って欲しいと懇願されます。
しかし、自分達が村にいてはやがて余計な争いも起こるだろうと鬼達は村を出る決意をします。
そうして鬼達は夜明け前にこっそり村を出ていこうとするのですが、この鬼達に惚れた娘達がその動きを察知して一緒に行くと言って聞きません。
結局鬼達の方が折れて、娘達は鬼達と一緒に安心して暮らせる土地を求め、旅立っていきました。
それから彼らがどうなったかは誰も知らないと言う話です。