父の話を聞いた時も自分が死ぬというイメージができなかった。しかし、屋上で四人と話し、香澄が自分のために泣いている姿を見て、その日の夜に初めて死の恐怖を実感した。
(死……考えたこともなかった。宇都宮の生活も慣れてきた。父とも再び話すようになり、学校も以前よりクラスに溶け込めていると感じる。そして、香澄……まだ死にたくないな)
考えはまとまらない。ループし、そしてまた不安が募る。そんな意味のない考えを繰り返す内に透は深い眠りへと落ちていった。
【ライトレールは妖怪がお好き】第十話投稿しました。宜しければご覧になって下さい。