前にもここで言ったように、わたしが書いた中では、ほかのどれよりも、『月曜日の方違さんは、たどりつけない』がいちばん美しいと思います。余計なことを考えず、他愛のないものを、余力を残した状態で書こうと試みた結果、逆に自分でも予想していなかったような何かが出てきてくれた気がします。何年もいろいろとぎこちないものを書いていたけれど、「月曜日の」を完成させられたことで、ひとまず満足すべきなのかもしれません。
『ジャスミンの島の物語』は、わたしの専門分野(というのも口幅ったいですが)を設定の題材にしたもので、キャラクターや物語をふくめて気に入ってはいるけれど、こういうのは一度しか使えないテーマかな、とも思います。エンタメ的な「あるある」を多用しているので、ほんとうはもっと娯楽作品寄りにすべきだったのかもしれません。
『東京虫』は、わたしなりにいちばん深いところまで入って書けたように思います。なにか一瞬の思い付きで頭の中に最後までできあがってしまい、忘れないうちにと思って急いで書いたのです。気持ち悪い小説です。どうして書いたのか、よくわかりません。
いまのところ『砂委員』が最後の作品ということになるけれど、あれは「いいもの」を書こうとし過ぎた結果、10年以上かかけた末に、何が何だか分からないものが出来上がってしまいました。ラストも非常に分かりにくいもので、読んでくださっていた方々も戸惑ってらっしゃったように見えたし、わたし自身もメインキャラクターふたりに去られ、砂の上に取り残されたままのような感じがします。
現在、以上の小説4作品のみを公開中です。いずれもカクヨムが初出です。
https://kakuyomu.jp/users/nkdmnr/works
今後もし何かを書くとしたら、「いいもの」を書こうなんて考えず、何の志も野心も試みも思想も無く、機械が書くよりもへたくそでいいから、自己満足のためだけのものにするかもしれません。今はもうそれ以外必要じゃない気がします。