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自分語り

人と話すとき、基本的には自分がしたい話より相手がしたい話を優先するよう努めている。

だがやはり性格上はおしゃべりだし自分の話を聞いてもらいたい側の人間なので、だんだんしんどくなってきたりもする。

そういうときは、聞き上手な人にたくさん聞いてもらうことで、心の均衡を保つようにしている。

話す量は人によって違う。私の口数の多さは、受け手との関係性の深さと比例する。

そしてめったにないのが自分語りだ。いわゆる経験や思い出を語ることである。えてして、人生観まで踏み込んだ長話になることが多い。

これが苦手だ。聞く人が私のことを好きでいてくれているという思い込みや手ごたえがないと、やはり言えない。

私の人生に成功体験はあまりない。挫折と失敗と恥が大部分を占める、鬱々としたものである。そんなものを聞いてもだれも幸せにならない。だから人を選ぶ。

周囲があきれるほどに自分を語る人がいる。少しだけ、うらやましい。愚かではあれど、その自惚れを持てるだけの自己愛は、私には無いものだから。

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