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「冷たい雨」あとがき(ネタバレあり)

読んでいただいた方、ありがとうございました。楽しんでいただけたでしょうか。

二つの点について少しお話を。

まず、萩原と智子の一件について。
離婚した夫婦がああいう状況になるのは実際にはまず考えにくいと思います。
智子が萩原に対して恋しい気持ちを持つかどうか。女って意外とあっさりしているから、今の生活で一応の安定が得られているのに、身勝手極まりない仕打ちを受けた元亭主にああいったアピールは出てこないんじゃないかと、正直、書き終えた今でも疑問を抱いている状況です。
あと、女性と間違いを犯したからと言って、その足で友達のところに泣きを入れに行くというのも、萩原のような抑えた性格ではあまり考えにくいかな、とも思ったのですが、親友の鍋島に対してだけは、昔から何かあると弱音を吐きにくるという歴史があるので、今回もそういった流れになりました。

次に、実行犯辻悦子の存在について。
本当は美登利が全部一人でやったということにしたかったのですが、いくら好きな男性を殺されたという暗い感情に支配されていたといっても、一応はまともな生活を送っている女子中学生に単独での犯行は無理だと判断しました。
ならば友達と一緒に犯行を重ねていくということも考えたのですが、あくまでただの友人がそれだけのリスクを背負うなどありえないし、仮にそうなるためにはその友人もまた何らかの原因で世の中に絶望している必要があると思ったので、そこを書くとなると最後になってまた別の話を展開させる必要があり、それではいささか話がとっ散らかる恐れが出てくると判断して、今回は辻悦子という人物を設定しました。なお、彼女の暗い過去についても、前述のような理由から最小限の描写にとどめました。

以上です。

このあとはまた、番外編②を掲載したいと思います。本作で颯爽と登場した一条さんのお話です。
よろしければ、引き続きお付き合いお願いします。

ありがとうございました。



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