https://kakuyomu.jp/works/16817330650722374444/episodes/16817330650723657699「ほんのり怖い」エッセイの週間30位に入ったみたいです。わあ。ありがとうございます。
オマケのお話をしようかな。
怖いって言うより、自然にはなす術がないというお話。
「プラルトリラー」
春から夏にかけて、仕事の合間をみつつ、ピアノを習っていました。習っていたのはベートーヴェンの「テンペスト」。
最初のページの下の段に、プラルトリラーと呼ばれる装飾音がありました。これが中々格好がつかなくて苦戦をしたのですが……。
ある夜勤明けの日。
居間のソファーで寝転がっていると、コツ、コツ、と窓ガラスをノックするような音が聞こえてきました。
「夢……?」
耳を澄ませなくても音は段々大きくなります。
コツコツから、ガツ、ガッ、ゴッ、という物々しいものに変わったところで飛び起きました。
ブラインドを上げると、至る所で白い粒が跳ねています。サッシの手前にあったものを見ると小さいものはビー玉大、大きなもので子供の拳大の氷の塊でした。
「アッ!」
バイク!
車!!!!
慌てて玄関まで出たけれど頭に穴が開く勢いで降る雹になす術はありませんでした。
バイクは幸いカバーのおかげで無傷。
車は、
ぼっこぼこ。
やっとローン終わったとこなのに、
ぼっこぼこ。
ぼっこ……………うぅ。
話は冒頭に戻ります。
私が習っていたのは「テンペスト」(嵐)という曲でした。タイトル通り、嵐の曲で雷や雨、風が聞こえてくるような曲なんですが、例のプラルトリラー。
あいつ、
雹が転がる感じの音がする。
そっか、雹……。
と思ってから割と上手いこと弾けるようになりました。
自然には勝てない。
一歩も出られなかったもの。
白い悪魔だった。