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ガイウス・スクリボニウス・クリオ

 作中の登場人物にはモデルとなった人が何人かいます。

 小説中のザハグリムのモデルとなったのはクリオというローマの政治家です。東洋史学卒ですが、ローマ史が一番好きで、ポエニ戦争、スパルタクス、グラックス兄弟、マリウスとスッラ、ルクルス、カエサルとポンペイウス、ハドリアヌス、アントニヌス・ピウス、ユリアヌス(ダレトのモデル)等、あげるだけで色々な人物がいるのですが、一番共感できたのはこのクリオでした。

 塩野七生女史の影響が強いのですが、若き元老議員で借金と放蕩生活を重ね、才能のぶつけ所なく荒れていた時に、元老院の対抗勢力であるカエサルに惹かれ、またカエサルもクリオの才能を見出していく。やがて元老院を裏切り、議会でカエサル擁護の論陣を張るクリオ‥‥。

 誰かに自分の才能を十二分に使って欲しいという欲求は誰しもが持っているのだと思います。そういう人に巡り合えたクリオはカエサルの為に戦場で若い命を落としましたが、人生としては充実していたと思います。カエサルはクリオの借金を肩代わりしたのでお金欲しさに裏切ったのか、とも批判されますが、命の代価としては釣り合わないと思います。自分を知ってくれる人のために死ぬ、そういう若者の情熱にとても共感しています。

 ザハグリムもウェルという少女に出会ってその蒙を啓かれました。貧民街の女性のために命を捧げる元老議員の活躍をご期待ください。


 


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