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城東公園にて

 仕事と式の最終打ち合わせの合間に動画やノートをチェックして、やっと形にすることができた。慣れない作業に、時間だけがかかってしまいました。
 にわかには信じられない内容に、正直、困惑しています。これを、現実として受け止めるべきか。
 先輩が必死になって撮影したカメラには、たしかにダストパンクと名乗るオノなる人物が、激しい暴力を振るっている姿が映っていました。ただ、相手は虎怪人ではなく、人間の男です。火花が散った瞬間、心臓が止まる思いでした。
 現実離れした跳躍力、男が手を振り下ろすと吹き飛ぶジャングルジム。物理現象として結果は保存されているのに、原因や過程がまったくわからない。超能力みたいだ。
 映像をコマ送りにして観察する。火花が散った瞬間、ダストパンクの足は男の顔に当たっていない。どういう仕組みかはわからないが、火花が散ったということは、物理的にヒットしたと機械が判定したということになる。何に当たったのか?
 この映像は編集されたフィクションである可能性はないか。先輩は実際に失踪しているわけだし、そんな手の込んだことをする理由がない。もしするなら、人間が虎になる姿も描くだろう。また、映像として、ネットに公開する気がない以上、そんなことをするメリットもない。
 先輩の近況ノートの内容にも、合致する。
 自己暗示、集団催眠、共感覚の類。
 一考の価値もない。面識もない三人が、たまたま出会って、同じ妄想を共有するなんてありえない。
 ただ、面倒なことにクビをツッコんだということは、わかった。

 先輩、あと四日で結婚式ですよ。
 ご祝儀、待ってますから。

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