お疲れ様です。ご無沙汰しております。皆さまお元気でしょうか。
まずはいつもながらですが、読みに来てくださり、また読ませていただきありがとうございます。本当に感謝しております。
・龍の町に星が降る
なんとかここまで来た感じですが、あと少し続きます。今月中に終わらせられればと思っていますがどうなるか分かりません。
・失恋狸
狸の目の周りの黒い部分は左右で繋がってないらしいです。良くあるイラストはデフォルメされた表現なんですね。
・腰、やっちゃった話
丼にご飯を盛って、そこに豆腐をのせます。
豆腐の上には刻んだミョウガと鰹節。
最後に麺つゆをかけます。
めんつゆは調理台の下の戸棚に入っています。
とろうとした瞬間です。
そうぎっくり腰です。
知ってますか?
ボキッとか、ゴキッてゴツイ音じゃないんです。
ピンと張った糸によく切れるナイフの刃先を当てた感じ。それで糸が切れた感じ。自分の場合はそうでした。
初めてではないですし、そんなにひどくなかったんですけどね。
もうだいぶ良くなりましたし。
自分少々縦に長い体型なので昔から気を付けろと言われていたのですが、ここ一、二年きてますね。あー。
皆さん、柔軟体操、ストレッチ。すげえ大事。創作マンの端っこの端くれの自分から唯一できるアドバイスです。体は柔らかくしといた方がいいですよ。やっちまうと書くのも読むのも支障きたしますよ。
以下感謝の小話です。
暗黒城、その最奥、光と闇、二人の英雄が今対峙する。
「魔王! 覚悟しろ!」
聖剣を腰に携えた光の英雄、勇者。
「ふはは、勇者よ待ちくたびれたわ!」
大鎌を片手に悠然と玉座に座る闇の英雄、魔王。
「お前を倒して世界を救ってみせる!」
「貴様を屠って世界を地獄に変えてみせるわ!」
聖剣に手をかける勇者。
大鎌を手に椅子から立ち上がる魔王。
瞬間。
「「ぁぁ……!」」
ほとんど同時、二つの切なげな悲鳴が重なった。
静けさの中に聖剣が落ちた音と大鎌が倒れた派手な音が響く。
声を上げた二人の英雄はどちらも中腰の姿勢で固まっていた。
こうして未曽有のダブルぎっくり腰という膠着状態が生まれたのであった。
「おい、勇者よどうしたのじゃ早くかかってこい」
「あ、いや、ちょっと、いや、魔王がきて」
二人とも声が小さい!
「どうして我が行かなければならんのじゃ」
「さっきまですごい威勢良かったから」
「お主もそうじゃったじゃろう」
「いや、まあ、その、なんだろ、腰が……」
「腰じゃと、勇者ともあろうものが腰が痛いのか、ふはは……はは……いたたたた……」
「この状況で良く笑ったね」
まったくである。
「どうすればいいのじゃこの状況ッ」
「どうするって、どうしよう」
「そもそもお主がくるのが遅いのが悪い。我はずっとこの硬い椅子に座ってたんじゃぞ」
「そんなこと言うなら、この部屋の前にセーブポイント作るから。セーブポイントあったらテント張って寝ちゃうじゃん」
「お主、寝起きか。寝起きは確かに筋肉が硬くなるからな」
「ほら……」
「すまぬ……」
突如現れるもう一人の登場人物。
「勇者さん! 助太刀に来ましたよ!」
勇者の味方、大天使である。
「どうしたんですか! 聖剣を手放して、さあ、拾って! 聖剣を拾って戦いましょう!」
「ちょっと、ちょっと、ねえ、ちょっと、声大きい、声、大きい」
「え!?」
声が小さいので聞こえない。
「それに足元の重たいもの拾うとか今一番無理だから」
重たいもの=聖剣。
「え!? なんですか!? あ、もしかして状態異常ですか!? わかりました私が魔法で!」
「やめて! 無駄だから! これは状態異常とかじゃないから! 持病だから! 持病! いたたたた……」
「え、ええ……」
やっと状況が見えた天使だった。
「腰が痛いんですか?」
ゆっくり体を動かさないように頷く勇者。
「魔王も?」
同じく頷く魔王。
「あ、じゃあ、今ならあいつに魔法当て放題じゃないですか」
「魔法?」
「はい、最近覚えたアースクエイクと言う魔法をお披露目しましょう」
「それ地面揺れる?」
「ええまあ」
「駄目。振動とか絶対駄目」
「え、じゃ、じゃあ、風魔法で」
「埃が立ってくしゃみが出たら腰がどこかに行くと思う」
「どこかに行くってどう言うことですか。それなら氷魔法は……」
「冷えはシンプルに駄目だからぁ」
「じゃあどうすれば」
「……温泉」
勇者が呟いた。
「温泉に連れていってください」
「え、どう言う意味……」
「とりあえず温泉に連れていってくださいぃ」
「ええ……、そんな、ここまできて、頑張りましょうよ、あなた陽光の勇者でしょうよ」
「はは、やめてください、僕なんかもうただの腰痛の勇者です。世界どころか自分の腰も救えないですよ。頭の中ではさだまさしの道化師のソネットが流れてますよ」
「ごめんなさい言ってることが一字一句わかりません」
「うう、お願いしますとにかく温泉にぃ……」
「ああ、わかりました、わかりましたから泣かないでください、じゃあ、とりあえずここを脱出して……」
脱出、その言葉に魔王が反応する。
「待て、勇者、待て、お主、行くのか? 我を残して行くのか?」
「魔王……」
「何を言ってるんですか魔王が。当たり前でしょう。一緒に行く訳ないでしょう」
冷たい天使。
「待ってくれ、ここに一人で残ると言うことがどう言うことかわかるのか? 地獄じゃ。ここは地獄じゃ」
「魔王が何言ってるんですかねって、勇者さんどうしたんですか?」
勇者は泣いている。
「気持ちわかるから。ここであの状態で一人残されるのは地獄だから」
「ええ……。あいつ世界を地獄に変えるとか言ってませんでしたっけ?」
「うう、地獄は辛いのじゃ」
「ああ、地獄は辛いよなぁ」
「なんなんですかこの状況……」
結局、勇者の嘆願もあり魔王も助ける大天使。そして一同温泉へ。
『転生したけどぎっくり腰になったので辺境の温泉で魔王(腰痛持ち)と療養生活に入ります』
そこではそんな物語が始まるとか始まらないとか。
感謝の小話、腰が痛い勇者と腰が痛い魔王