• 現代ドラマ
  • 恋愛

コンクール敗因分析『わたしのかみさま てんしさま』編

〇 分析作品『わたしのかみさま てんしさま』
URL : https://kakuyomu.jp/works/1177354054891841985

このシナリオは2015年のフジテレビヤングシナリオ大賞に応募し、一次も通らず落ちたシナリオです。
人生二度目のコンクール応募で、なまじ最初の挑戦で一次を通過できただけにショックを受けたのですが、
今にして思うと敗因があからさますぎたので分析していきたいと思います。

➀ モノローグを多用しすぎ

モノローグやナレーションという手法はシナリオにおいて嫌われがちな印象です。
とはいえ、モノローグを使った映画やドラマが存在し、支持を得ている以上、手法自体が悪いわけではありません。
このシナリオにおいて問題なのは『説明的すぎる』という点です。

主に「千里M」から始まっている台詞がモノローグになりますが、
ほぼ全てが千里の心情、それから千里が抱えているコンプレックス、そして物語の根幹となる千里の目的の説明に費やされています。
映画やドラマという『映像媒体』である以上、モノローグで全て説明してしまうのではなく、千里自身の動き、台詞、会話のやり取りなどで表現する努力をすべきでした。

➁ 起承転結のしょうもなさ

このシナリオを起承転結に分けると

起:千里と修吾が出会う
承:千里と修吾が仲良くなりだす
転:仁志の一言がきっかけで千里が暴走する
結:千里と修吾が結局付き合う

という感じになります。
この中で言うと転→結のストーリーが断トツでしょうもないですね。

「転」で主人公が動き出せば、事態が好転するなり悪化するなりするのが基本ですが、
このシナリオの場合は千里が行動を起こした結果、状況が何も変わらず、千里が一歩も進めていないことが改めて明るみになっただけです。

「結」で結局千里と修吾が付き合っていて、そこそこ良い雰囲気になっているというのも実に微妙な結末です。
「転」で状況が何も変わっていないのに、なぜ2人の関係が変わっているのか。
これまでのストーリーの流れであれば、千里と修吾の関係は変わることなく、相変わらず千里が修吾にどぎまぎしている方がまだよかったと思います。

➂ そもそも募集要項に不備があった

ここまでシナリオの内容に言及しておいてなんですが、このシナリオをコンクールに出した時に重大な不備がありました。
大体のシナリオコンクールは募集要項の1つに「登場人物」という項目があり、シナリオ中に台詞のある登場人物の一覧表を添えて提出するのですが、
由梨子の彼氏である圭の説明を「千里の彼氏」という風に誤記載してしまっていました。
自分の作品の登場人物の説明もろくにできないような書き手の提出したものが通るはずもありません。
シナリオ本文だけでなく、募集要項もしっかり確認しなければならないと勉強できただけでも大きな成果です。

このシナリオを書こうと思ったのは、
「美しくて長い黒髪で、掴みどころのない性格の、男前なベーシストが出てくる話を書きたい」
という完全に私欲によるものからでした。
当時、『黒髪の長髪ベーシスト』という属性そのものにめちゃくちゃ弱かったんですよね。サブカルに片足突っ込んだ女はみんな好きなアレです。
結果として何というか、その程度の考えで書いたんだろうなー、というのがありありとわかる出来に仕上がりました。
読み返してみて好きな部分もあるにはありますが、当時の私の適当さに怒りたくもなるシナリオです。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する