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生まれつき小説が読めない件3 図書館の本に……

 昔から読書が好きです。
 幼稚園の頃から何かしらの読み物を手に持っていて、小学校一年生で黙読を覚えるとそれは更に加速しました。

 実際、小学校三年生頃まで、私は読書が得意という自負がありました。
 ディスレクシア(識字困難)と言っても軽度なので、『恐ろしく字が下手』で『漢字が覚えられない』というぐらいで、それほど困ってはいなかったんです。

 実際、その年齢ぐらいで読める本は、学校の図書館にあるほとんどを読み終えていました。
 子供向けなので、文字が大きく、字数が少なく、行間は広く、とにかく読みやすかったんです。

 しかし小学校四年生頃から状況が変わり、どう読もうとしてもページ内の文字密度が高すぎて、苦労しはじめました。

 ただ、私のディスレクシアは主に『隣の行と文字が混ざる』『どこの行を読んでいるのかわからなくなる』という症状ですから、割と単純な症状緩和策があります。


 読んでいる文字の横を、ペンでなぞる。


 これで、どこを読んでいるのかを把握できます。
 少なくとも前の行に戻る率は下がり、戻ったとしても「あ、戻ってる」と気付けます。
 指では跡が残らないため効果はなく、あくまで書き込む必要があります。

 この方法がいつの間にかクセになっていた私は、自分でも気付かないうちに、"図書館中の本に罫線"を引いていました。

 ……もちろん、あとですっごい怒られました。

 小学校はボールペン禁止だったので、全て鉛筆書きです。
 更に貸し出しカードには全ての履歴が残っています。

 これが幸いして、(恐らく)全ての本から罫線を消し去ることができました。
 更にその後、図書委員に立候補して、消し溢しがないかを徹底的にチェック。
 学校の本を汚してしまったことが申し訳なかったのと、そういうことを無意識にしてしまっていた自分が恥ずかしく、証拠隠滅を図ったとも言えます。

 ……すると、身に覚えのない線が、結構見つかるんですよ。
 一年生向けの本だったり、時々ボールペンだったり、消したはずの本に線が復活していたり。私じゃないよね……? という感じで、不思議に思っていました。

 今思えば、学校の中に『別のディスレクシア』がいて、私と同じ方法で本を読んでいたのかもしれません。

 購入した本や教科書に線を引くのは自由ですが(私の教科書は線だらけでした)、図書館の本や人から借りた本では当然、アウトです。

 しかし、もしこれを読んで頂いたあなたの身の回り(友人や家族など)に同じことをしている人がいたら、人知れず悩んでいる可能性があります。

 ディスレクシアという症状は人口の3~7%もいて、決して珍しくありません。
 しかしほとんどの人は、自分がディスレクシアだと気付かずに生きています。
 症状を『自分の能力や努力不足』だと思い込んでいるかもしれません。

 気付いても、それはそれで『どんなに努力しても解決しないんだ……』と苦悩するかもしれません。

 しかし今は、Audibleなどの"耳で聞く読書"サービスもありますし、電子書籍やWEB小説の多くは、文字の大きさを変えられます。

 違う切り口での解決を目指すことができるようになるので、もし本当に、身近な人が悩んでいるようでしたら、こういう症状があることを……そっと伝えても、いいかもしれません。



 U15 ガールズ! 今日は13~19話まで順次公開していきます。
 ラノベ感が増して、高校生のソフィや中学生のチサとの絡みも多くなっています!

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054890705561

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