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『ゆるく考える』

 東浩紀先生のエッセイ集『ゆるく考える』を読みました。

 私は知的刺激を受けたくて東先生の著作を手に取ることがあるのですが、あまり理解できないまま読了もしくは挫折することが多いです。

『ゆるく考える』はいままで読んだ東浩紀作品の中でいちばん面白かった!
 もしそんな感想を先生が聞いたらさぞがっかりされることでしょうが、事実なのでしかたありません。私の知的レベルでなんとか理解できるぎりぎりのラインだったので、刺激的かつ楽しく読むことができたのです。

 この本、『ゆるく』考えるなんて謳っているのに、(私にとっては)全然ゆるくありません。むずかしかったです。東先生は読者を楽しませるためにかなりくだけて書いていますが、それでも。
 先生の苦心の文章を引用します。

>おっと。おっとおっと。
 すみません。また硬い文章になってしまいました。読者のドン引きが目に浮かぶようです。もう止めておきます。
 とにもかくにも、本当はそういう話が書きたかったのです。しかし、いまのままだと、文芸誌にありがちな「思想系の学者さんがなにかむずかしく語ってますよ」系の文章として華麗にスルーされそうな気がする。

 くすっと笑いつつ、むずかしい部分を読み越えていくことができました。

 東先生の著作ではありませんが、私は哲学入門の本を読もうとして何度か挫折しています。初心者のための入門書のはずなのに、むずかしすぎるのです。私の脳は哲学にはまったく向いていないのでしょう。

『ゆるく考える』くらいの難易度と面白さの哲学入門があったらいいなあと思いますが、もしそんなことを東先生が聞いたら「おまえに哲学は無理だ……」とあきれられるか「甘い!」と叱られるかもしれません。

 東浩紀入門におすすめの一冊です。

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