こんにちは、みなかたはるです。
コロナ禍の中、平年とは違う年の瀬となりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
みなかたはというと、相変わらずヘビィな日々を送っております。時間が欲しいいい。
さて、本題です。
今回はカクヨムさん、ノベルアッププラスさんで投稿中の自著「テンシの居るセカイ(通称:テンセカ)」において、
12月23日に第一章(チャプターⅠ)が完結となりましたので、その後書きとなります。
作中の最後に入れようかと思ったのですが、物語は物語としての余韻があったのと、タイトルとして後書きで入れちゃうと、お話として文字カウントされるので、こちらに分けることにさせて頂きました。せっかく作った活動報告ですので、たまには利用しなくては。
2020年7月24日0時より始まったこの物語は、丸五か月の歳月を経て、一つの区切りを迎えることとなりました。
10万字を超え、文庫本一冊に相当するボリュームのこの物語を読んで頂いた皆様に、まずもって深く御礼申し上げます。
それと同時に、心温まる応援コメントや反応、宣伝のご支援、叱咤激励を寄せて頂いた数多くのサイト内外の皆様にも、この場をお借りして感謝の意を表したいと思います。本当にありがとうございました。
テンセカは今の私にとって初のweb長編小説でございました。
元々は公募作品として送り出したのですが実らず、師とも言える大先輩から「(中略)今の時代webからなら必要な人に届くかもしれないね」と言われ、この物語群としては非常に重要な意味を持つ日にスタートさせることとなりました。
連載を始めて改めて気づかされたのは、自らの稚拙さというべきか、文章力の無さでした。
インターネット上という、多くの人に見られ、評価されるという現実を前にして、初めて自らの技術と向き合い、限りある時間の中で相当数の改稿を行わざるを得ないという状況に直面し、正直しんどい……となったことも事実でした。
ですが、一方で、昨年から親交のあった方だけでなく、新しく読み手の方とも出会うきっかけとなり、物語の行く末を楽しみにしてもらっているという反応は、そのしんどさを拭い去り、あるいは逆にパワーに変えるほどの喜びであったことは言うまでもございません。
その旅路の中で、改めて「お話を書くのが好き」「物語を描くのが好き」ということに気づかされ、生きている限り、頭と手が動く限りやり続けたいなあとは思いました。
それでは、テンセカⅠについて。
※以降、本編をお読みになった前提となりますので、作中の内容言及がございます。
死と生の間にある、より転生を迎えるために、あるいは、ここに流れ着いた人々が生前叶えられなかった幸せを得るためにある世界。
いわゆる異世界転生ものではなく、異世界転移ものでもない、この物語。
各パーツの見た目は似ているものの、まったく違う規格で形作られたこの物語は、既存パーツとしての読みやすさと、一方で世界自体が持つ、深さ、重さ、オリジナルの展開を表現する、小説界ではほぼオンリーワンの物語ではないかと自負しております。
当然、ルールが違うため、制約も違う。そんな中で、特に重要視したのは「ヒューマンドラマ」「ままならぬ」です。
息遣いから、身体の細部の動きに至るまで、まるで、登場人物がそれぞれ「生きている」と感じさせる表現を多用し、よりリアルに、より等身大の人々が織りなす地に足がついた物語を目標としました。
どこまで伝わっているかは、私自身には判断できないわけですが。無念。
また、「ヒューマンドラマ」ということで、それぞれのシーンに空気感が出るように演出しました。
それは構成だったり、文章表現だったりで。
テンポやリズムで、緊張、弛緩、シーン速度をコントロールする形ですね。
例えば、マリィから話を聞き、依頼所へ帰るシーン、テンシへの告白シーン、殉教者との戦闘シーン、他etc。
上手く出来たかはさておき、そういうものを心がけて書き連ねていました。
私にとって小説は、文字の羅列だけではなく、一つの音楽のようなもので、波をしっかり作っていくというのはひとつの私らしさなのかな、とか思ったり。
これは今後もやっていきたいなあと思います。上手くいくかは、人事を尽くすけれど天命……。
ままならぬは、読んでの通りです。
ほとんどご都合主義がないせいで回り道が多いですが、だからこそ出会いがあったり、発見があったり。人生そのものですね。
実際の中身、お話のポイントみたいなものは、ちょっと解釈みたいなところもあるので、私からは差し控えることとします。
ただ間違いなく言えることは、登場人物の誰にスポットを当てるかによって、また読む人の年齢や経歴、送ってきた人生によって、この物語はプリズムのように様々な色を見せ、心に届くということです。
観測者の視点でもよし、健太の視点でもよし、テンシの視点でもよし、あるいは、サエ先生や、中央広場で屋台を出している人の視点だったら、どう言う風な景色が映るんだろうとか、そこの自由度を楽しんでいただけたらなあと。
ただ、ギミックとしては、二周目、三周目と読んでいくと、発見と謎が増えるシステムにさせて頂いています。
この段階ではようやく考察が出来る要素が整ってきたので、読み込む人がいればいいなあとか、ちょっとだけ期待しつつ。
真に大枠では、ミステリを含んでおりますゆえ。
最後に、今後の展望について。
お気づきの方も居られると思いますが、テンセカは大長編を前提として構成されています。
現在兼業ですので、次がどのタイミングで始められるかは不明ですが、構想としては、
第二章 シバ編その②:幼い見た目の女探偵ヨリコを主人公としたミステリ成分多めの物語
第三章 レクナート編:異世界アナンテリアが基軸世界であり、幻想的な成分多めの物語
第四章 ダータフォルグ編:とある事件をきっかけとしてその解決のために乗り込む物語
第五章 シバ編その③:人物関係はより変化を迎え、少年と少女が真実に迫る物語
第六章 ビッグシェルフ編:大空を駆け、地底を奔る物語(丸々テンシ不在予定)
第七章 少年は選択を迫られる物語(第一部完)
ここに、第一章の四日目から六日目(テンシの居ない期間)、第一章~第二章の間の短編集ほか、幕間ともいえる物語を小出しにして、全体を補強していく形となります。
改めて見ると、吐きそうな文量になりそう。頑張れわたし。
これからもテンシの居るセカイは続いていきます。
ただ、送り出せるまでのストックと改稿済がないのと、一方で物書きとして専業でスタートするために、そのための物語を創り出していかなければなりません。それなりのお時間を頂くことになると思いますが、テンセカがあるから何とか生きていける、くらいに思ってもらえる人が一人でも居ると思って、推し進めていきたいと思います。
……長文となり、失礼いたしました。
今後も、テンセカを、みなかたをご愛顧頂けると幸いです。
混迷を続け、人の心に闇が忍ぶ時代ではありますが、だからこそ、我々の力が必要なのだと信じて、これからも力の限り筆を執り、心に響くものを送り出したいと思います。
皆様のご健勝とご多幸をお祈りしつつ、また、未来を共に歩んでいけるように願いながら。
それでは、またお会い出来る日まで。
2020.12.28 南方 華(みなかた はる)