森見さんの小説、「四畳半神話大系」の続編(KADOKAWA)というよりはスピンオフ的なストーリーかな、と思っています。
というのも上田誠氏による先立つ原案があり、筆が自由闊達に走るというより、先行するシナリオにあるプロットを追う、そんなギゴチナサが感じられるからで……。
むろん個人の感想です。面白いのは間違いないです。念のため。
登場人物である樋口氏のヴィダルサスーンへの執着ぶりや、モッサリ田村くんにのウインクにくすっと笑ったり。
一癖も二癖もある愉快な仲間たちとタイムマシンを介してドタバタする二日間。
自主映画、銭湯、打ち上げ、サークル、ほのかな恋情などなど若気の至りからくる切なさと痛さも面はゆく、軽くたのしく読める一冊に仕上がっています。
で、こっからが本題。
森見さんの功績か、それとも上田さんの炯眼ぶりが発揮されてかは知りませんが、これ物凄く上質な時間旅行SFになっています。タイムパラドックスの説明も丁寧で非常にわかりやすくタイムマシンものの小説を書く人の参考になるのでは。
また、古書なので入手できないかも、なのですが、ハリイ・ハリスンの「テクニカラー・タイムマシン」も併せておすすめしちゃいます。これもタイムマシンをつかって映画を撮影しに行くお話。
こっちのお話では、森見さんとは違ってバンバン歴史を改変しちゃうんですが、クーラーのリモコンよろしく時空をループするメモがSF的がジェットとして登場し、えらく興奮させられました。
かたや「タイムマシンブルース」では、やっぱりリモコンは時空をループしないという合理的な説明がなされ、思わずうなってしまいました。
ともあれ、映画撮影といい、時空をループする物品といい、この作品を下敷きにして森見版の時間SFが生まれたのかな、などと想い(邪推?)を巡らせると愉しくなってきちゃいます。
あと蛇足としてもう一つ。
物語のラストで、明石さん説く時間ついての考察なんですが、映画「メッセージ」ととても響き合うものがあります。
以下に紹介する岡田斗司夫の動画は、時間論は運命論でもあり円環を為す(決定論的である)、という命題を、異星人ヘプタポッドの言語の解析をつうじ、みごとに評論しています。
岡田斗司夫ゼミ#180 音が出るかも。ご注意を!
https://youtu.be/dODyfumgz9Eあとついでながら蛇足をもう一つ。
自作の宣伝です。
天使の空中戦、興味ないですか?
幼馴染で純情すぎる悪魔少女のハルマゲドンラブ ~異類婚学園イチャイチャ戦記~
https://kakuyomu.jp/works/16816452218438776401/episodes/16816452218499189193ではでは、よろしくお願いします。