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メモ3






 「ど、どうして?」
 それは彼女がNG行為である本番を自ら行った事、そしてゴムも着けずに生で行った事、さらには射精に対しそのまま中に出させた事。
 もっと言えば、まだ処女だったのに何故ここまでしたのかという事。

 病気や妊娠の心配はもちろん、店からの叱責だってあるだろう。
 処女だったのだからこの後店に戻ったら、歩き方や雰囲気で気付かれてしまう事だってかなりの確率であり得る事。
 
 こういう時、普通は拒絶する。
 お店での本番行為は女の子側から良いよと言っても、普通は拒否するものだ。
 後で何か言われるかもしれないし、どこでバレるかわからない。
 ましてやゴムなしでなんてありえない。

 今日は先輩に無理矢理連れて来られたのだからもう二度と利用する事はないのだから尚更だ。
 抑俺は拒否出来たはずなんだ。
 それなのに、受け入れてしまった。
 彼女もおかしければ、また俺もおかしいのだ。

 プレイが終わり、俺の問いに彼女が即答する事はなかった。
 ゆっくりと身体を倒してきて、俺の身体にもたれかかってきたからだ。

 彼女の呼吸はまだ荒い。
 疲労と痛みはまだ残っているだろう。
 彼女が俺にもたれかかってきた時に、チョモランマは彼女のあそこからは抜け出して、丁度下半身の大事なところを隠すかのような位置にある。
 もし勃っていたら、ベッドの足元側からはその秘密の花園は見えなくなっていただろう。

 呼吸が落ち着いた彼女は、身体を反転させて横に少しずれた。俺の真横にくっつくように、顔だけはもたれかかるように身体を預けてくる。

 「私、リピーターがいないんです。」
 彼女の、風俗嬢渚の告白が、右の耳に入ってきた。

 彼女が風俗店で働くようになったのは3ヶ月程前。
 大学3年生になってからだと言う。
 大学の友人と一緒に始めたと言う事だが、その友人とやらは既に辞めたとか。

 しかし俺は違和感を覚えた。
 彼女が、「友人」という言葉を出す前に必ず一呼吸空けるのだ。
 意図的なのか、言い淀んでかはわからない。

 もしかすると、友人ではないのかもしれない。

 その友人とやらに誘われて始めたは良いものの、いくら店のコンセプトが処女や経験少ない娘・未経験を押し出すものであっても、慣れないものは慣れない。

 働く前の指導も大変だったと言う。
 店のスタッフは親切丁寧に必要な事以外は行わないし、強要はしなかったそうだ。
 その辺は正直意外だった。

 勝手なイメージだけど、立場を利用して男性スタッフは色々やってしまうものだと思っていたからだ。

 そんな研修期間を経て、いざ客をとってみると。

 一度も指名を受ける事はなく、一度フリーでついた客の時でも二度目は断られるとの事だった。
 見た目は78点と称したけれど、決して悪いわけではない。
 隣に連れていれば可愛いと思う。
 テクニックも、他を知らないから一概には言えないけれど、上手かったと思う。

 「私、他の娘よりNGプレイが多いし、一生懸命なのはわかるんだけど、何か事務的で早く終わらそうとしているみたいな感じを受けると。」

 とてもそうは感じなかったけどな。
 
 「お客様からは、言葉では上手く表せられませんが、心が押し潰されてしまいそうな感じを受けました。普通お店に来る人は、自身の性欲を発散させるために決して安くはないお金を払ってまで来るのに。」

 「だから、私が少しでもその重しを軽く出来たらなと思いました。そうしたら、この人になら全てを曝け出して、身を預けても良いと思えて、本来ならNGなはずの事に触れてしまいました。」

 本当にそれだけだろうか。
 彼女の鼓動はプレイが終わって大分経つのにまだ早く、俺の身体にまで伝わってくる。

 しかし俺は彼女の答えに対してさらに聞く事も頷く事もなかった。

 プレイ終了5分前のアラームが部屋に鳴り響く。
 

 あとはシャワーで綺麗にして、お互い別れるだけだ。
 しかし俺は思わずこういったた。

 「30分延長でお願い。」
 彼女は驚いた表情をしてこちらを見る。

 彼女がリピーター取れない云々は、告白してきた事は事実なのかも知れないが、それだけではないような気がしていた。

 延長したのは彼女のため。
 延長分のいくらかは彼女の取り分となる。

 俺が延長したのは、処女を喪失したばかりの彼女の体調を慮っての事だった。

 彼女はお礼にと一緒に入浴し、ない胸で挟んでくれた。
 これの何処が事務的で、早く終わらせてしまおうとしているようなプレイなのか。
 ない胸で一生懸命頑張る姿は、愛おしさすら感じてしまう程だった。


 「ミルクセーキ」
 俺は彼女の顔や胸に掛かったそれをみて親父ギャグのように漏らしていた。

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