第二話「二度目の人生は文字通り神アイテムと共に」の解説をしていきます。
真名を知られることが弱点なのは、現実の神や悪魔でも同じですね。この世界の神は現世事情に疎く、割と説教臭いタイプだったので、天使もこれ幸いと封じる手を人間に使わせています。わざとフルネームで呼んだのはそのせい。人間は神アイテムゲット、天使は説教臭いお偉いさんがいなくなって、WinーWinなわけです。
そして遥人は一人異世界へと降り立ちます。もうすっかりラノベだと思いこんでいるので、何故か二度目の人生は成功するものだと信じて疑わないのです。
これは私の主張であり、反旗50話の陽介に「こっちの世界で恵まれなかったことが、異世界で好き放題やっていい理由にはならない」を言わせるための布石です。
異世界で遥人は、エルメス・アラートとして生まれ変わります。赤ちゃんから始めると話が弛んでしまうため、幼少期を飛ばして15歳の誕生日前日まで時を進めています。厳密に言えば転生ではなく、元々の魂を追い出してそこに住み着く「取り憑きおじさん型」なのですが、これを表現する明確な言葉が見つからず、異世界転生というタグをつけています。
エルメスの家庭事情や世界を知り、魔族と人間が平和に暮らしていることを「つまらない」と一蹴します。作中では描写していませんが、天月家は両親が不仲でいつも喧嘩ばかりしている家庭でした。なので遥人は波風立たない穏やかな生活を望んでいましたが、何でも叶う神アイテムを手にした途端、平和な世界はイベントが全部終わった後のストーリーにしか見えなくなってしまったのです。この後遥人は世界の思い通りにならない部分に対して、願ったり上書きしたりと存分に力を振るっていきます。その姿は意見に反発した母親に暴力を浴びせる父親そっくりなのですが、遥人が気づくことはありません。
また、両親が不仲なことは継母がヒステリックだったことに対してもあまり驚かず、父親にもさして興味を持たず、あっさり家を出ていく理由でもあります。
今回はここまで。ではまた次回