ラブラブな感じで書いていて楽しいのですが、10話以降はほとんど新しく書いた文章です。そもそも今回書き直しに至ったのは、このあたりの矛盾なんですよね。前回書いたときに、大きく参考資料にしたのがアントニー・ビーヴァー著の「ベルリン陥落」なのですが、まあそれはそれはソビエト軍の鬼畜の所業について微に入り細に渡り文章が続くわけです。当然「軍規」「倫理観」というものはほぼなかったのだなという印象を受けます。同じように戦争に負け、日本にもアメリカ軍が占領に来るわけですが、戦後の写真や時代劇などではアメリカ兵は派手なパンパンガールを腕にぶら下げて歩いているわけです。ま、戦争に負けた国はどこもそんなもんだろうと思っていたわけです。だから前回の小説では、アレクセイとエリザベートは一線を越えた後はっちゃけてしまい、出張先のホテルへ呼び出し、外食、コンサート、スキー旅行、元帥にまで交際を宣言とかしております。
ところが
私が思っていたのと違い、ソ連軍の交際禁止令はかなり厳格だったらしく、「一緒に道を歩けない」レベルだったということでした。これは、終戦前後の強姦多発を反省したからでもなんでもなく、「資本主義的思想が兵士に入り込む」ことを阻止したかったようなんです。戦後アメリカへ渡った日本女性・ドイツ女性が数万人単位でいました。彼女たちの恋愛は、真剣なものだったからこそ結婚に至ったのだと思います。そうすると、同じ比率(憎まれていたから率は少ないとはいえ)でソビエト占領ゾーンでも恋愛や売春は発生するはずなんですよ。ところが、統計的にほとんど残っていない。ロシアに連れて帰った例が数件? これって意図的に隠されてるんだろうなあと考えます。
で、この禁止令を欺く手段がハウスメイド作戦です。蛇の道は蛇、人間の恋愛エネルギーはすごいなあと・・・