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ボツ案(一番下に作者の心情を追記)

どうも、めいき~です。(´・ω・`)

出す前にボツにした話です、供養がてら近況にのせてみる。

それは、小雨の降ってる日だった。いつも通り、あたしは屋上に煙草を吸いにいったの。そしたら、あたしより若い子が手すりを越えようとして両方の靴脱いで。

遺書もしっかり靴を重しにして、固い決意で飛ぼうとしてたんだ。


あたしは、昔の事を思い出して。彼女にこういった、「折角のトコ悪いんだけどさあたしの話を聞いてから飛ぶなら飛びなさいよ」って。

そいつは、めそめそしながら震える手で手が膨らむ位に力を込め。
「判りました、手早くお願いします」とだけ小さく言った。


「あたしさ、こんな手がカサカサになって若さの欠片も無くしちゃってるんだけどさ。あんたみたいな若い頃、色々あったんだよね……」


私は中学の時に父親病気で亡くしてから、母親と暮らしてたのよ。
週三日も食べ物があったらいい方で、しょっちゅう電気もガスも水道も止まってね。誕生日は砂場でこうした雨の日に、涙か雨か判んないの顔に貼り付けて母親も働いて家に居なくてさ。

公園の砂場で、一人笑ってハッピーじゃないのにハッピーバースデー元気に歌ってたんだよね。

イジメられては、女子トイレの上からホースで水かけられて。
着るものも制服も、枚数ないから着たきりスズメして。
それでも、学校いけって叩かれて。


泥だらけの、ぐちゃぐちゃでいる事なんて日常茶飯事だったの。
当然進学するお金なんて出してもらえる訳ないから、バイトで自分の学費全部だしてさ。奨学金貰ってるやつらも親から金出してもらえる連中もみんな甘ったれに見えてさ。悔しくて、テストの点だけも取って無かったら正気も保てない位だったんだよね。

「アンタが、この世に未練なく死のうって気持ちは私がずうーーーーと毎日毎日持ち続けてたものだから。飛ぶななんて言えない、飛びたきゃ飛べばいいよ。希望の青い鳥なんてこの世にはないし、空を飛んだ気になって自由になった気になって内臓ぶちまけて醜く死ねばいいとしか私は思わない」

親に本読んで貰った事もなきゃ、愛された事だってない。だって親は生きるのに必死で私なんかその辺に転がってるゴミと一緒に転がってたんだから。


飛ぼうとしていた女が眼を見開いて、手すりを更に力強く握りしめる。


「人生変わったのは、たった一人変えてくれた人が居たから。私の心が壊れる前にその出会いがもしなかったなら今日のあたしはここにはいない」

かちりとジッポで煙草に火をつけて、雨の中で紫煙がふらりと空へ昇る……。


「アンタには、その出会いが無かっただけなんだって思ったら。少なくとも私はさ、飛ぶのも悪くないと思っちゃうんだよね」


ふぅと息を吐きだし、黒い空に白い息が消えていく。

「私には何の才能なんて無くてさ、運もないのに取柄もないのかってずっと色んなものを恨んできたの」


私がまだ生きてるのは、そいつより先に死んでたまるかって心底思ってるからよ。あんな奴に負けたくない、あんな奴に……。

持っていた、煙草の箱がぐしゃりと潰れ。般若の形相で言い放つ。


「栞って言うんだそいつ、親族は全員何らかの会社の社長と会長。何不自由なく暮らして。私が死ぬほど勉強してやっとトップ三なのに、彼女は毎日ショッピングして好きなだけ寝て。いつも、私の上に居るの!勉強もスポーツも人付き合いもそんな不公平な人間がいるのかって思う位!!」


雷がぴしゃりと遠くで落ち、潰れた煙草の箱から血が滴っていた。


「ねぇ、私にそいつが何て言ったと思う?」

とても、底冷えのする声で今から自殺しようとしていた彼女さえ恐怖で顔がゆがみ幽鬼が言葉だけで心臓を潰そうとするような。


「持たない人の気持ちなんて判んないわ、だって私は負けた事がないもの」


笑顔で、いじめられてずぶ濡れの私の前でっっ!
「あいつに一杯食わせてやると思って色々試したのにっ!、あいつはご苦労さまって全部潰して。弱者が頑張って這い上がるのを叩いて潰して奈落に落ちていくのを見るのが最高に幸せを感じるのぉ♪」って両肩を抱きしめながら流し目で言うのよ。相手が弱ければ弱いほどいい、頑張れば頑張るほど尚いいって笑いながらいうの。

「私は知ってる、本当の悪党は悪党の顔してないって」
誰からも愛されて、愛されない私を嘲笑ってそれをお首にも出さずに愛され続ける本当の悪党と腐れ縁だから。

「だから、私は絶対死なない……」って決意して生きてこうして一流のキャリアにのって貧乏脱出してザマァと思ったら、栞はその商社も含めた複数の大株主になってて株主総会でばったりよ。私はえらくなっても社員、向こうはオーナー。

「貴女まだ、生きてたの?」って言われたのよ!。

その時の私の気持ちが判る?キャリアで勝ちあがるのに、どれだけの想いをしてきたと思ってんのよっ!

「今その株主総会が終わって、やってられないわと煙草吸いに来たらアンタがいたのよ。だから、どうしても誰かに聞いて欲しかったの」

顔をぐちゃぐちゃにして、メイクも溶け。
表情も消えて、黒い雲から光が一筋差し込んでいた。


「呼び止めて悪かったわね……」


そういって、吸ってもいない煙草の箱ごと屋上から思いっきり投げ捨て。
ドアを閉めて、女の背中が消えたそのドアを自殺しようとした女があっけにとられて見ていた。


そして、自分の揃えた靴とその下の遺書に視線を移動させ。
「やめよっかな……自殺」

そう呟いて、揃えた靴を履き遺書をびりびりと破いた。

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※つまんなくする為にここから下をカット
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この後、しばらくしてその呼び止めた同じ会社の女が舌をペロっと出しながら。
「今から飛ぼうって人に、飛ぶなって言っても聞く訳ないじゃない。演技よエ・ン・ギ」と言ってビンタを十往復もらう事になる。

「いひゃいです、いひょうひゃん(いたいです、いとうさん)」
「どこまでが嘘なの?」
「全部です!(キリッ」




(おしまい)

追記:言葉使い等後で直し、暗い話もうちょい暗めでも良かったかもしれない。
書き方として、前半でなるべく落として後で飛ぶ。(途中でトリが空飛ぶ表現は最後上げますよと自分用メモ。オチだけぶった切れば、つまらなくならんかならなよねよし没にしよっと。←今ここ

2件のコメント

  • 飛び物? ってどう説得するかが難しいですよねー長すぎてもアレだし
    自分は飛ぶ以前に痛いの嫌だからアレですが^p^

    ラストは照れてしまったかもですが^p^ こういう後日談もいいと思うますよー
  • コメントありがとうございます。=͟͟͞͞(=͟͟͞͞(=͟͟͞͞( ۶ᐛ )۶

    言うだけ言ってあばよ!からのそれ演技で大ウソってオチの話から「オチだけ無かった事にしたらつまらんくなりまへんか?」

    良かったらダメなんだよー先生!(だからボツに(›´A`‹ )
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