マルヤ六世

いい子のところにはサンタクロースが来てくれる。僕はサンタの歌が大好きだったし、いい子にしていたけど、今までサンタクロースは来なかった。だけど、その日は来てくれたんだ。

一白界談掲載作品　六十一話

　髭がないと、男のミリョクが足りないっていうのが俺たちの知ってる世界だ。 「お困りのようじゃな」 　仙人みたいな大量の真っ白髭を何束にもしてリボンで結んでいる、なんなら眉毛もだい…

文通相手のまりんちゃん。私は彼女のことを何も知りません。それでも大好きでした。 一白界談掲載作品　十六話

俺が七不思議を知らなかったせいで、母さんはかわってしまった。 家族の誰もが、その話を信じてくれない。 一白界談掲載作品　十二話。

自分はアニメが好きなんだと、そう周囲に言えるようになったのはいつからだろうか。 あの頃、その世界を知る人は誰もが願わずにいられなかった。 彼女たちを遠くから眺めて、時々巻き込まれ…

魔法が現実になり始めた世界。奇跡は失われ、懐かしさの中にしか浪漫はない。 そんな時代で敢えて機械医療を行う医師と、その補助デバイスの人工知能ねずみが出会う患者たちとの物語。 連…

十二月三日、歯ブラシ交換の日。 マキにとってその日はとても重要な日だったらしい。それがいつの間にか俺にも伝播して、マキが離れていっても、記念日だけはこの部屋に居座っている。

「紫陽花って好き」 校外学習の日、私は嘘を吐いた。 好きでもなんでもない男の子、斎藤くんに話しかけるために。

神の祝福である水を自由に扱う聖水魔法。 その聖水で出来た双剣の、唯一無二の使い手として、華々しく活躍したのが遠い昔に思える。 俺は生まれ育った町に帰って来た。こいつを連れて。

８月も終わろうという頃。 夏休みの間に会えなかった彼女は死んでしまったようだった。

都心から離れて快適な一人暮らしをしていたはずのＭさんは、友人との通話中に起きた電波障害をきっかけに、次第に衰弱していく。 なぜＭさんの身に不幸が降りかかったのか。 そんなお話。

市内で頻発する赤ん坊の変死事件。その捜査をしていた刑事は、その事件が小中学生の自殺事件と複雑に絡み合っていることに気づく。 止まらない死の連鎖、その奥深くに眠る真実とは──。 …

石山徹は飼育委員だった。中庭の池に一匹だけいる金魚の餌やりも彼の仕事の一つだ。 いつもはしぶしぶ用意するのだが、今日はすっかり忘れていて……。 一白界談収録作品　７４話。

学校の購買部に時折現れるおばあちゃん──通称ネッちゃん。彼女の料理は私を虜にする。 その秘密を、彼女は私だけに教えてくれるんだって。 一白界談収録作品　７１話目

名前をもじって、ラクテン的だといじられがちな落合天子。仕事も人生もうまく行かない上に、ある日目玉が落っこちた。奇病にかかった彼女が“見た”少年は、こう警告する。 「人間は消費期限…

天ヶ原生存クラブ。僕と持田が始めた二人だけの、無認可の部活動。今までは実にうまくやってきたというのに、今回ばかりは少し失敗してしまった。 命について考える少年たちが向かう先は。

僕は明日、何年か住んだこの家から引っ越す。君との思い出がたくさん詰まったこの家を、出ていく。

伊藤の住む町にある子津山（ねづやま）トンネルは、なぜか「おばけトンネル」と呼ばれ、歩いて通ることが暗に禁じられている。妹に泣きつかれてトンネルの調査に向かった伊藤は、そこで噂が広…

バス内で恋人同士になった乗客だけが三ツ星高級旅館に破格の値段で宿泊できるバスツアーがあるらしい。同僚の代わりに、焼肉を奢ってもらう約束で参加することになった鈴原。彼には恋人を作る…