こんばんは。
以前の近況ノートで、検証番組の『どうなの会』について書きましたが、やはり番組効果は恐るべし。
昨日スーパーに立ち寄ったら、高カカオポリフェノールチョコの『95%』が売り切れ。
『86%』も残り三箱で、当然その一個を買いましたよ。
やはり、みんな番組を観てるんだな……。
踊らされているのは分かっていますが、まあ手軽にダイエット効果が期待できるかも、と言うことで良し。
番組移籍の経緯はともかく、レギュラー放送で復活して欲しいところです。
そして、短期連載の続きです。
四話の今回でも終わらず。
最終話は次回になります。
◇ ◇ ◇
『水淵の姫・四話』
「黙れ。クソが!」
激怒した『水影月』の、黒い瞳に深淵の影が映る。
構えた刀の刃が、粉々に崩れ落ちた。
代わりに、蛇の如くに渦巻く水の刃が浮かび上がる。
黄泉姫は「ほぉ……」と頭を左右に振った。
「今度は水芸か? ついでに美味い鮎でも出してたもれ。火名月が居れば、すぐに焼いてくれたろうな。だが、酒が無いか」
「ふざけるな!」
『水影月』は、『水蛇の刀』を網舞台に突き刺した。
網目の隙間を貫いた刀は円盤状に回転し、網を切り裂いていく。
切り裂かれた網綱は、こぶし大の大きさに千切れ、湖に落下して沈む。
「穴を開けるで無い。動きづらいでは無いか」
黄泉姫は、網舞台の大穴を見て嘆いた。
二人の間には、10尺四方(約3メートル四方)の大穴が開いている。
真下の湖面には足場となるような岩は無い。
落下すれば、飛び上がるのは不可能に思える。
黄泉姫は、小波立つ湖面を見つめ、尊大な面持ちで訊いた。
「おい、クソ水影。其方は、水に落ちても飛び上がれるのであろう? 水使いなら、それぐらいは出来よう?」
「だったら、どうした!?」
「いや、そうなる前に決着を付けようと思うてな」
「ならば、落ちる前に下衆姫さまの全身を砕かねばな!」
『水影月』は叫び、『水蛇の刀』を上段に構える。
「あああああああっ!」
黄泉千佳は絶叫し、狭い網かごの中でうずくまった。
一瞬の出来事だった。
棘と化して立ち上がった数本の網綱が、『水影月』を貫いた。
その一本は、首を正確に切断し、跳んだ首は黄泉千佳の手前に落下した。
「ひいっ、ひいっ、ひいいいっ!」
黄泉千佳の悲鳴がほとばしる。
それに構わず、黄泉姫は『水影月』の胴体を下に蹴落とした。
「くだらぬ。我はクソ名月どもとは違う。一騎打ちなど愚行よ。しばし遊んだまでのこと。死ぬ前に楽しめたから、満足であろう?」
冷淡に呟きながら、懐から出した黒い袱紗で首を包み、網部隊の隅に置いた、
「ふん。本物の水影月なら、我が枝を自由に操れることを見越したであろうが。所詮は、不出来な阿呆よ。……おい、カエル女。後始末はしたぞ。顔を上げろ」
――しかし、黄泉千佳は震えるばかりで動けない。
「顔を上げろと言うたであろうが。お漏らしするまで、うずくまっているつもりか」
――相手の声の傲慢さが薄れた。
黄泉千佳は、そうっと顔を上げる。
相手は手前に腰を降ろし、また懐から何かを取り出した。
「……『じゃむばん』があるぞ。半分分けしようか。うむ、少し潰れたが」
「……はい?」
「現世の『店』とやらから持ってきた。『濡れ布巾』もだ。手と顔を拭え」
「……はい……」
黄泉千佳は上半身を起こす。
身を包んでいた網かごは消えており、目の前に相手が正座している。
その膝の上には、袋入りのジャムパンと携帯ウェットティシューが載っている。
黄泉千佳は、そろりそろりと彼女に近付いた。
――続く。
◇ ◇ ◇
えー、次回こそ最終話です。
そして今朝。
ベランダの手すりに、スズメちゃんの小さな白い落とし物がありました。
近くの木に、スズメちゃんたちが集まっているようです。
ズズメちゃんたちが、今夏を穏やかに過ごせますように🐦
mamalicq