unsunged story
雷鳴の鳴り響く音が聞こえたような気がした
それは夢や幻ではない、ここにある現実
これは、ただの予感ではない……
そう、何かが、確かに静かに
刻一刻と、カウントダウンの時が近づく――
降りしきる雨と遠雷を引き連れて
ついに、その瞬間は訪れる
――目覚めよ!
その意思を、その宿命を以って……
――克目せよ!
その力を、持つべき者の覚悟と共に……
――畏怖せよ!
その身体に、静かなる怒りを携え……
――しかして希望せよ!
その正義よ、己の心の正しさへと……届け!
『さあ娘よ、我が名を呼べ!』
耳鳴りが聞こえる。
遠雷に紛れた、懐かしき優しい声と。
雨に紛れた、果てのない涙。
それはいつまでも、いつまでも止んではくれない。
獰猛なる魔物どもの眼前に、虚空を引き裂いた影が顕現する
稲光を浴びたそれは腕組みをし立ち尽くす
不敵に、あるいは哀れみをもって笑ったように見えた
それを合図に魔物の群れは襲い掛かる
その不敵な悪魔は瞬時に片腕を振りぬくと、彼のものどもの胴体を引き離し血飛沫と共に舞い上げた
間髪入れずに燃え盛る火球をその諸手から生み出し、残された魔物に向けて放つ
酷く焦げた臭いが立ち込める中、地面に落ちゆく生物だったものを一瞥すると力強く蹴り飛ばし、趣味の悪そうな笑みを浮かべた
すべてが終わるとその巨大な悪魔は、後方に居た少女と思しき女性にかしづく
「良くやったわ、アモン。戻りなさい」
これは、とある召喚師の軌跡。
それは、華やかな英雄譚の裏に隠された、もう一つの物語。
今となっては、それを知るものも語るものも居ない。
さあ今こそ、真実を紐解く旅に出よう。
---
えっと、前回いってたとある曲を物語の導入風に起こしてみました。
~~を参考にとかいうと多分、著作権がどうたらってなりそうな気がするので伏せておきましょうか。
結構起伏というか勢いを感じながら書くことができましたね。
ただ、これを長編に応用ができるのかどうか。試行錯誤は続きます。