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名前付けるって大変だよ

例えば『吸血の勇者ユーリル』の主人公ユーリルという名前は古代ゲルマンの冬至祭り「ユール」から来ている。もちろんミトラス教の冬至祭りの影響はある。ユールストームと言って今でもスウェーデンでは冬の嵐の象徴になってる。古代ローマのミトラス教の冬至祭りを当時のキリスト教がパクったのがクリスマスで本当はキリストって人は12月生まれではなく9月生まれなんじゃないのかと言われている。

『吸血の勇者ユーリル』
https://kakuyomu.jp/works/16817330648541506978

では何でユールではなくてreが入ってるユーリルなのかといったら……。

実は中世の北欧ってオーディンが悪魔に落ちてこの日に百鬼夜行を行うんだ。これをワイルドハントという。ゆえに北欧の冬至祭りって本当は外に出てはいけないんだ。ユールストームも起こるし。オーディンが死霊や魔物を統べる日なんだね。つまりユーリルは立派に百鬼夜行の一員になったって意味だ。reって事は何度でもって意味だ。なのでユーリルが生まれた月も12月だ。

オーディンなどの北欧神話の神々が復権したのはルネサンスの頃からだ。

このように名前って1人だけ付けるだけでも大変なんだよ。「山田太郎」とか「紀衛門」(~衛門は時代劇で使う)とか「スミス=トム」なんてもんじゃ済まないしこれやったら「本当にそんな奴居るのかよ!?」ってそれはそれで読者に突っ込まれるので。

だから俺の文章って「誰が誰に言ってるのか」をわざとぼかしてるんだ。いちいち村人A、村人Bに名前つけるのって本当大変なんだ。下手すると氏子の村かもしれんし。そんなのは読者の想像力にお任せしますというか状況で分かって?いちいちなんで村人Aと村人Bの会話ですと説明しなきゃいけないのってなる。モブ同士のキャラに名前つけるのって大変なんだよ。

名前つけるのは立派に創作行為なんだよ。知識を集約して付けるんだし。それを主要登場人物以外につけるのは大変なんだ。

最近のゲームにはモブキャラにも名前あってしかも「ここは〇〇の村だよ」とだけ言わないように出来てるのかもしれない。PS4やPS5とかスイッチの時代まで行ったら(ってか大半のゲームはそうなのね)。でも俺は個人で小説書いているんであって開発チームで書いているわけじゃない。そんなの無理だ。

人形姫アネットに至っては貴族だ。クロエ=アネットってなってるけど
本当は設定上クロエ=フィッツアラン=アネットだ。ミドルネームをわざとつけてない。ちなみに欧米圏のミドルネームは洗礼名を参考にすることが多い。簡単じゃないんだ。
読者は名前って作るの当たり前とか思ってない? 乙女ゲームの世界ってこんなのを50人くらい作らないといけないわけ。下手すると新しい創作論作れるよね。近況報告じゃなくて。『名前論 名前を作るのは簡単な事じゃない』って。特にミドルネームがあるものは。

ちなみに名前に著作権は無い。だから名前だけパクるのは実は合法だ(ただし商標登録されていたらアウトだ)。著者に許諾する必要すらない。無いけどなろうあたりで登場人物の名前をパクるとどうなるか分かるよな? 倫理的に。

なおタイトルにも著作権は無いんだけど太宰氏の子孫がTBSドラマのタイトルに怒ってそれで『人間・失格』になったぐらいだ。合法だからって何やってもいいわけじゃない。中点が付いたんだ。タイトルですらこの有様だからね。(1993年 TBS 『人間・失格』事件)

読者のみなさんにはモブキャラに名前あるのが当たり前だと思っているのならそれは大きな間違いだよって言いたい。〇〇水滸伝を書いてるんじゃないんだしね。

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