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つんどくと空想文庫

加古川市の寺家町商店街にかわのまちリビングという私設図書館もコワーキングスペースもイベント会場にもなるマルチスペースがあると知りまだ加古川に越してから町慣れしていない自分を連れて行ってみました。

月額1200円で一棚オーナーになることができる私設図書館もあるとの情報だけはつかんでいたので、今自分にとって一番必要な笑いを提供してくれる小説や漫画など様々な形の笑いを含んだ20冊ほどを持って訪れました。

夜勤明けの朝9時から訪れたこともあり商店街は活気に溢れているとは言えませんでしたが、かわのまちリビングの佇まいはシックかつおしゃれで美容室か神戸のカフェのような印象を持ち、少し躊躇させられはしましたが夜勤明けのまどろんだ意識では逃げ帰るより、とりあえず行くだけいってみようという意志が勝ちました。

黒を基調とした入り口デザインもコンクリートむき出しの内装にも暖かみのある質感はなかったのですが、2階にあるかわのまちリビングに入ると目に入ってくるのは手作りの本棚に素材を生かした木のテーブルに所々にある手書きの案内表示や幼い子が書いたであろうお菓子販売のポップなど、ここを作っている方たちの優しさや温もりを感じる場所だということが一目で実感することができました。

あぁ、ここなら自分のような居場所を作れない人間でも通えるかもしれないと…

本は20冊以上にもなるとバッグと肩を壊しにかかるほど重たいものです。
重たい荷物には少し思いも入ってしまいさらに重みをましていたかもしれません。

図書コーナー『つんどく』の棚の前に置かれている椅子に荷物を置くと、各つんどくオーナーさんの棚をチェックせずにはいられません。

ビジネス本や啓発書、図鑑に美術本、絵本、料理本に歴史小説、棚一杯に詰め込まれた漫画に大学生が最近読んだ本を置いてある棚もありました。

3冊だけ置かれていますがすべてに書店のポップのように小粋な解説が書かれていてクスリと笑わせてくれる棚もありました。
そのうちの一冊『なぜ妻は夫のやることなすこと気にくわないのか』は借りたくなりました。妻もいない人間に借りたくさせるのはポップの魔力でしょう。

すべて見終わる前にスタッフの阪口さんが来られました。
ネットでつんどくを拝見した時に紹介されていたので唯一知っている方にお会いできてホッとした気持ちになりました。

優しく暖かな人柄に快活な笑顔をお持ちで少ししか話せていませんが、この人柄の方が中心となっているからか、かわのまちリビングが風通しのよい場所になっているのかなと思わせられました。

『つんどく』の一棚オーナーになることを決断しました。

オーナー名はTwitterアカウント名の空想さんから空想文庫としました。

まだ本棚には空きスペースがいくつかあるのでどの棚にしようか迷いましたがLANTARO文庫さんに敬愛する中島らも作品や水木しげる、ボブ・ディラン本があったのでここなら違和感ないだろうかと思い決めました。
お会いしたこともないLANTAROさんに勝手に親近感が湧いてお隣にお邪魔させていただきました。
なんかごめんなさい。

一棚オーナーになり置かせていただいた本は

和山やま『カラオケ行こ!』
阿部共実『空が灰色だから』『ちーちゃんはちょっと足りない』
高野文子『るきさん』
谷口奈津子『彼女は宇宙一』
富樫義博『レベルE』
小田扉『前夜祭』
藤子・F・不二雄『ビッグコミックSF短編集』
ものゆう『ことりサラリーマン鳥川さん』
古谷実『ゲレクシス』
半村良『能登怪異譚』
高野秀行『怪獣記』『怪魚ウモッカ格闘記』『イスラム飲酒紀行』
今井通子『マッターホルンの空中トイレ』
倉知淳『豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件』
犬丸りん『めろめろ』
サキ『サキ短編集』
ハリー・クレッシング『料理人』

見事にバラバラ。

共通点はひとつだけ。

どうかしているラインナップですが、自分のなかで外していると思っている作品はないです。
こっぱずかしい文言ですが、『あなたの笑顔を引き出す本だけ置いていきます』と名刺に書いていただきました。
人が恥ずかしいと思うときはそこに本心があるからでしょう。

この文章を書いている今日は日曜日。
かわのまちリビングはおやすみ。
誰かには届いてほしい思いも込めた空想文庫もおやすみ中。

月曜日から土曜日まで『つんどく』で笑ってほしいだけの思いを込めた空想文庫はあなたとの出会いをお待ちしております。

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