薄暗い部屋の中で、二人の荒い息遣いが交じる。
ベッドの上に並んで寝転がり、未だに落ち着かない呼吸を整えながら二人で顔を合わせる。

トキの、とろんとしたどこか放心したような顔。

ツチノコの、半目でにやけたような満足げな顔。

見つめ合ううちに、静かな部屋の中で唯一の音だった二人の呼吸音も聞こえないくらいに小さくなった。

そして、顔を近づけて唇を重ねる。

「・・・幸せです」

一糸まとわぬ姿のトキが、にっこり笑ってそう呟く。

「・・・はは、私も」

同じく裸のツチノコがそう言って同じように笑う。しかし、次にツチノコが見たトキの顔はどこか物悲しいものだった。

「どうした?」

「・・・やっぱり、いくら愛しても子供はできないんですね」

やはり寂しそうなトキの顔。見ているツチノコの胸もちくりと痛む。

越えられない性の壁。フレンズというのは、どうしてか女の子になってしまう。オスの事例もあるというウワサだが、都市伝説のようなもので真偽は不明。
女の子同士。どんなに愛し合っても、どんなに交わってもその間に子を授かることはできない。

「やっぱり、子供ほしいか・・・?」

「私は、ツチノコといれば幸せですよ?でも・・・」

愛し合う二人の間なら、子供が欲しいというのは当然の欲求。でも、世の理に反することをする不思議な力なんて二人にはなかった。

「じゃあ、私がたくさんトキを愛するから、そんな寂しい顔しないでくれよ?」

「うふふ、ツチノコは優しいですね?私だって、たくさんたくさんツチノコのこと愛します。ずーっと」

そう言うトキは笑っていた。そのはずなのに、頬は濡れている。

「もう寝ようか」

「そうですね、明日は・・・お休みですか」

「うん。ほら、トキおいで?もう少し近くに」

「? はい」

ベッドの上でもぞもぞと体を動かしてトキがツチノコに近寄る。ツチノコはそのトキを優しく抱きしめ、裸のままの自分の胸に当てた。

「今日はこう寝よう?」

「・・・うふふ、ツチノコ恥ずかしくないんですか?」

「トキならいくらでも、な」

「ありがとうございます」

その姿勢のまま布団を被る。湿っているが、多少は気にしない。

「おやすみなさい」

「ん、おやすみ」

実は、トキは布団を頭まで被って寝るのが好きだ。トキの頭はツチノコの胸のあたりにあるため、トキは頭を入れてツチノコは頭を出してというのが可能である。

「・・・」

しばらくだっただろうか?
ツチノコは、腕の中のトキの呼吸が規則正しくなり、声をかけても返事がしなくなるのを確認する。

一旦ベッドから降りて、部屋の電気を落とす。真っ暗になった部屋の中でもう一度ベッドに入り込む。

「おやすみ、トキ」

ピット器官でしっかりとトキの形を確認し、それを抱くようにして優しく手をかける。そのまま目を閉じると、いつの間にかツチノコの意識も夢の中に消えていった。







朝。さっぱりと目が覚めたトキは、自分を優しく抱いてくれる感覚が気持ちよくてまだしばらく目を瞑っていた。

しかし、いつまでもこうしている訳にはいかない。起きて、朝ごはんの配給ジャパまんを貰ってこなくては。

そう思い、パチリと目を開ける。

(・・・あれ?)

見えたのは、ツチノコの青緑の髪。本来であれば、ツチノコの可愛らしい胸が見えるはず。
寝ている間に姿勢が変わってしまうなんてよくある事だが、抱かれている感触があるのにツチノコの髪が見えているのはあまりに不自然だ。

もっとよく確認しようと、視線を上げてそこに見たのは・・・




朝。トキが寝るのを待っていたせいか、目覚めが悪いツチノコは、呆然と目を開けていた。

最近は冷えるので、布団の中でトキを抱いている手を出して目を擦りたくない。トキを起こしてしまうのも可哀想なので、まばたきを繰り返して目を覚ます。

(・・・ん?)

ふと、目の前にあるトキの羽に目がつく。布団からひょっこりと羽だけ出ている。
寝る前はこうではなかったはずだが、寝ている間にトキが動いたのだろう。

別に不自然でもない結論にいたり、その寝顔をちょっとだけ拝もうと手を動かして布団を持ち上げて、そこに見たのは・・・



自分にそっくりな白と朱鷺色の羽。

自分と同じ、青緑で癖毛の髪。

「「うわあああぁぁぁぁあ!?!?」」

トキとツチノコ、お互いに寝ていると思っていたのが同時に声を上げて飛び起きる。布団も勢いよくめくれ、その下にあるもの・・・正確には、居るものが見える。

今のトキとツチノコとは違い、服を着た小さな体。
二人が見た通りのツチノコと同じ髪。トキと同じ羽。
幼い寝顔。

「こ、これって・・・?」

トキが驚きながらも小さく声を出す。ツチノコは答えるように首を上下に振りまくる。

「「私たちの・・・子供・・・!?」」


☆☆☆

トキノコに子供が出来るなら、って話
本編ではどうしてもできないので、どこにも属さない近況ノートに書いてみた。誰にも通知が行かない、見る人ぞ見れる特別編的なね?(Twitterでお知らせはするけど)
多分続きません、子供の姿は各々想像してみてください?




・・・でも実は、「トキとツチノコの子供」って絵をいただいたことがありまして、それを元に書いてるのです。見たい人はコメントをくだされば、Twitter側のurl貼るよー