なんとなく、今日は『尊厳と細い火』について考えていました。
意味不明ですみません。
ポエム回です。
とりあえずなのですが、以下は、『滅びの国の魔女紀行』の、しばらく先のエピソードの一節です。
(先出しですみません!)
吹雪の中で、火を放つ魔法石が尽きてしまうときのことです。。
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扉の外では、吹雪の音がひょうひょうとこだましている。
「あたしも、寒いんだ」とメイナは続ける。
「魔法石、温存しなきゃ、だよね」
「そうねえ。細々と使えば、しばらくもつかもしれないし」
「うん……。だけどさ」
「なに?」
「ねえリティ。旅はさー、いったいいつまで、続くのかな?」
「どうだろ。わかんないよ。今日とか明日までかもしれないし。――終わらないかもしれないし」
「そうだよねー。魔法石は、細々と使わないとね」
そう言ったきり、メイナはじっと、消えてゆく火を見つめていた。
横穴の中はまた、寒くなってきた。どうにも歩き出せる気がしない。
リティはぼんやりと思う。もしかしたら、この横穴の中から抜け出せず、凍えてゆくのかもしれない。
その時のことだ。
メイナは右手を魔法石にかざし、灯りをともした。灯りが魔法石に重なると、魔法石は強く赤く輝いて、また勢いよく燃え盛りはじめた。――まるで最後の熱を放ち尽くすかのように。
メイナは黙ったまま、魔法石に灯りを注ぎ続ける。ますます魔法石は明るく燃え上がる。暖気が横穴を満たした。
「メイナ…………」
リティはそこからなにも言えなかった。
メイナの瞳の中には、真っ赤な炎が宿っていた。とはいえ魔法石の火は早くも弱くなりはじめ、魔法石自体も黒くなってきた。
「メイナ……。どうしたの? こんな使い方じゃ、魔法石が、もう……」
「わかってる。――あたしは、思ったんだよ。あったかさを忘れなければさー。凍えないんじゃないか、って。それに……」
「それに?」
「うん。もし、明日は。――明日は凍えちゃってもさー。リティと、一緒にあったまった、この火は、消えないよ。ずっと…………」
それでもやがて火は消えた。
メイナは立ち上がった。
「行こう」
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僕にとって、特別なシーンです🔥
長く細く火を灯すことが幸せなのか。
いまを照らすことが幸せなのか。
人はいつも、火を燃やしながら生きていますね。
火を燃やすことを、恐れなくていいとは思います。
たとえば十年を振り返り、思い出されるのは、瞬間の連続……だから
闇や灯りの瞬間の連続が、生きるってことなのかなあ……
今日が少し暖かく、満たされていたら、それが生きる価値として、刻まれるのかもしれない。
というポエムでした⭐️
たいてい、こういうテンションで作品を書いてるのですが、ちょっと近況ノートに染み出してきました。
カクヨムコン、それから多忙な日々、駆け抜けましょう!
写真は魔女紀行より……(AI作)
