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日記その午

才能と言うのは努力こそがそうなのだろうか。

『異世界転生して超ハイスペックな肉体を手に入れたけど才能無さ過ぎてスペックの一割も発揮できない』

少し前、と言っても数年ほど遡るわけですが友人と自分も流行りの異世界転生モノを書けばウケるかなという話になってこんなタイトルを考えて遊んでいた。


内容はタイトルの通りズバリ異世界転生して超ハイスペックな肉体を手に入れた主人公が、しかし戦い方なんて知らないし、教わってやってはみたものの怖すぎ要領悪すぎで獣一匹狩れもしない。ハンサムな顔のお陰で女の子は寄ってくるがチェリー過ぎて上手い話の一つも出来ない。結局はハイスペックを持て余し酒場の店員をして日銭を稼ぐだけと言う転生前と大して変わらない生活を送るハメになる。と言う話。

なんのかんのあって実は主人公が手に入れた肉体は実はちゃんとした使命を持った勇者が手に入れるはずだったものだと判明して、大して優れている訳でもない平々凡々な肉体でしかし努力を重ねて力を付けた勇者が現れ主人公はボコ殴りにされる。堪らず屈服して主人公は肉体を返すと言うのだが入れ換える術は無いらしく、勇者は勇者で己の肉体の限界を悟っていて今のままでは使命を果たせないと悔し涙を滲ませる。かくなる上は主人公を鍛え上げるしかないと言うことになり、勇者による主人公育成計画が始まるのだが、それは勇者が己の完璧鋼鉄メンタルでこなしてきた地獄のメニューを主人公に強いるものだった。

当然ながら平凡メンタル、なんなら平均以下な主人公にそんなもの耐えられる筈もなく、泣いて逃げ出すのは日常茶飯事。勇者は恐怖の対象になり引きこもりになる主人公だが、勇者は主人公に出来ない筈はないと主人公を引きずり出しては厳しい特訓を更に激化させて行く。

長くなりそうなので結末を言うと、結局才能無い主人公は最後までハイスペックな肉体のハイスペックさを使いこなせないまま、しかし勇者はそんな情けない主人公と接して行く内に主人公は勇者が救うべき大勢の一人だと言うことに気付き、人々も主人公も救って見せると奮起。肉体の限界を突破して魔王を遂には打ち倒す。

しかし勇者は瀕死の重症。けれど彼は自分に勇者らしさを教えてくれた主人公に礼を言いながら、これまでの非道を詫びて死んで行こうとする。主人公は結局何も出来なかった事や期待に応えられなかった事を勇者に謝りながら、今一度の転生を願う。しかしそれは主人公自身がではなく、目の前で自分のせいで死んでしまいそうな勇者の為の願いであった。

そして勇者はかつて望んだ優れた肉体を手に入れ、死を免れた。しかしそこに勇者を勇者たらしめた主人公は居らず、彼は主人公が自らの為に犠牲になったことを悟り涙を流すのだった。


うーん、悪くない。友人が誉めてくれただけはある。勇者が女の子か、主人公が女の子だったら二人の関係性は更に作り込めそうだ。自分には無理そうだが。

そう、自分には無理そうなのだ。目の前には最高の食材がレシピ付きで置いてあるのに、自分の能力ではそれを作り上げられない。能力だけじゃなく、性分すらそれの邪魔をする。
絵は描けば描くだけ上手くなると言うけれど、続ける力が必要だ。小説だって似たような所があるはず、けれどサボり魔、浮気魔な自分にはそれが無い。続ける力が無い。上のお話の主人公と同じだ。主人公は最後に重大な決断をして勇者を救ったが、そんな展開は現実じゃ期待できない。そういう話じゃない。

ずっと昔みたいに、通学中、一時間に一本の電車を待つ間や車内。休み時間とか、帰ってからも、夢中で本を読んでいた時のような自分を取り戻せたら変われるだろうか。自分は主人公ではなく、主人公を見て変わる勇者であるべきなんだろうか。……ホーム・メイド家族かな。

なんだかどちゃくそ恥ずかしくなってきたぞ。今日はこのくらいで!

なんだかんだ言ってエウレカは好きです!

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