マイケル・ジャクソンが、全世界で最も売れたと言われているアルバムを発売して間もない頃、僕はロサンゼルスのダウンタウンにある古びたアパートメントホテルにいた。
日当たりは良くなかったが、掃除は行き届いていて決して居心地は悪くはなかった。
窓がひとつしかない狭い部屋の壁際に置いたラジカセは、ローカルFMが流す電波をその小さなアンテナで精一杯拾っていた。
「ビリー・ジーン」や「ビート・イット」がよく流れていた。
まだ何者でもなかったあの頃。
すかせたお腹をコーラで紛らせながら、流れてくる曲に僕は聴くともなく耳を傾けていた。
ただ時間だけがたっぷりとあった……
『ブランドンホテル 402』
翌々週22日より毎週水曜日更新予定です。
当時の資料や記憶を拾い集めてます。
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