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ちい恋スピンオフ『あかをほどく』<挿絵っぽいもの>

 もう一度のぶ兄の手を取って、その軽く汗ばんだ手を直に私の胸へ、肌へと触れさせる。
「私はね、のぶ兄。背中よりもここが痛いのよ……」
 伝わるだろうか。早く脈打つ鼓動と、傷を受けたあの頃よりもずいぶんと膨らんだそこに。傷よりも大事な何かに。
 大きくなって女として成長した私に気づいてほしかった。

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