はじめまして。小学生の頃、繰り返し何度も読んでいたのは、主に岩波少年文庫の本たちでした。一番好きだったのは「メアリー・ポピンズ」シリーズ、舐めるように読み、その世界にのめり込みました。「トム・ソーヤの冒険」も、大好きだった本の一つです。
さて、たまたまですが、ウン年ぶりに「トム・ソーヤの冒険」(大塚勇三訳)を手に取りました。初めて、これまたたまたまですが、最初の章を音読しました。子どもの躾に、鞭打ちが行われていたのは、今と違いますし、人種差別が明確にあったのも今とは違います。また、アメリカの農村部では裸足で子供達が過ごしていたのも、その後の時代と違います。
ただ、その違いを乗り越えてなお、マーク・トウェインの語り口が瑞々しく、大塚先生の訳が「若い!」。今、早口で私が声を出して読んでも、先に書いた鞭打ちなどの風習は別として、心情の描写は違和感がない。最初に英語で出版されたのが1876年、148年前です。大塚先生の最初の翻訳が1975年。翻訳は来年で50年となりますが、読み継がれる活きた物語、活きた言葉へを紡いだマーク・トウェイン氏、大塚勇三氏に乾杯。
そして、1000年前の枕草子や源氏物語が、今なお読み継がれていることを思えば、凄いことです。言葉で伝えることと、言葉とイメージを使いながら想像し、物語を紡ぐこと。自分がどこまでできるのか、できないのか、今の所よく分かっていないのですが、言葉とそれによる想像力、物語の素晴らしさを改めて感じています。