いつも拙い物語をお読みくださり、ありがとうございます。
クリスマスですね。
平日だと盛り上がりにかけるのでしょうか? それともかえって、ですかね?
素敵な時間を過ごされますよう、祈っております。
只今、更新しているのは「プラス的」と「せっかく異世界」の2つです。
プラス的は体感(?)としては3分の1きたぐらいでしょうか。
870話ぐらいで終わる見積もりだったのに、また盛大にのびております。
呆れず最後までお付き合いいただければ、大変嬉しいです。
せっかく異世界は本日の更新、145話がラストです。
最終話、どうぞよろしくお願いします!
下にクリスマスっぽいミニストーリーを貼り付けます。
プラス的、15章と16章の間の12月25日のお話です。語り手はアダムさんで。
お読みいただければ幸いでございます。
貼り付け画像は、今年のクッキーの家です♪
ウチの中で唯一のクリスマスっぽいもの。
いつも思っているんですが。
わたしは妄想するのが好きで、それを書き留めることも好きです。
でもこうして長くテンションを持ったまま、書いていられるのは、訪れてくださっているってわかったり、読んでもらえるからだと思えます。
すっごく支えてもらっています。だから、本当にありがとうございます!
長引く傾向にありますが、今後もお付き合いいただけますと、大変ありがたく嬉しいです。
そんなわけで、今年も大変世話になりました。
来年もどうぞよろしくお願いします!
少し早いですが……みなさまどうぞ良い年をお迎えくださいませ。
seo拝
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SIDE アダム『クリスマス会』
シュタイン領のクリスマス会に招待された。
着飾ってダンスを楽しむ会やお茶会とも違うという。
平服で来てくださいとあり。
ゲームをするとのことだった。
暮れも差し迫った、12月25日。シュタイン領でそれは開かれる。
王都の者は王宮に集まっていると、クジャク公爵さまが転移で連れていってくれるという。
恐るべしシュタイン家。どんなに金を積んでも公爵さまが頷かなければ、請け負ってくれない転移というスキル。
それを子供たちの集まりに使わせるとは。
前日の24日はシュタイン領の子供たちの誕生会だという。
その月の誕生日の子たちを集めて、贈り物をするそうだ。
あなたが生まれてきてくれたから、出会うことができた。
それを祝ってのことらしい。
貴族だと生まれた日が知られると、ホロスコープでわかってしまうこともあるから誕生日は秘匿するものだ。だから初め聞いた時はただ驚いた。けれど、家族以外からも生まれてくれてありがとうと祝われるのは羨ましいなと思った。
僕が生まれた時、誰か喜んだ人がいたんだろうか?
母親は産み落とすわけだからもちろん僕の誕生を知っているわけだけど、生物学的な父は生まれたことも知らないかもしれないな。
それについて感情が揺れる年代はとうに通り過ぎた、けどね……。
シュタイン家の子供たちの親しい子がみんな呼ばれていた。
シュタイン領のほぼ中央にある大きな宿泊施設。
そこで好きなように気ままに過ごしていいそうだ。
広い風呂があると聞いて楽しみにしていた。
僕はD組の男子たちと風呂を満喫した。
風呂から上がれば冷たい牛乳かジュースが待っている。
宴会会場と呼ばれる広間では、ご馳走がビュッフェ式に湯気を立てていて、温かい床の上ではカードゲームがそれぞれに繰り広げられていた。
去年リディア嬢が教えてくれたカードのゲームふたり対戦のものは〝スピード〟というらしい。それからクジャク公爵さまを叩いという〝探偵〟というゲーム。ジャンケンの結果を得てポーズをとり、紙を丸めた棒で叩けるかどうかの、攻撃と防御での素早さを競う者たちもいた。どこも白熱していて、それを観覧している子供たちも興奮していた。
「あ、アダム!」
言ってからしまったというように口を押さえている。僕の顔を見て駆け寄ってきたのはリディア嬢だ。もう、あだ名ってことにしてアダムで通してもいいかもな。
「今日はお招きをありがとう」
リディア嬢に感謝を伝える。
「エンターさま、楽しんでね!」
そう言って走っていって、誰かと一緒に笑い、また走り出す。
その後をちょこちょことお遣いさまがついていく。
〝犬〟にしか見えないな。
そう思うと、お遣いさまは振り返ってチロリと僕を見た。
おっかない!
僕は慌てて視線を逸らした。
「やぁ、フランツ」
フランツは軽く片手をあげる。
「毎年、こうなのか?」
尋ねるとフランツは首を横にふる。
「ここまで多くの人を招いたのは初めてじゃないかな?」
貴族も平民も関係ない。ただシュタイン家の子供たちの親しい子供というくくりだ。
「へー、そういえば、〝イベント〟の日にリディア嬢と出かけるって言ってたよな? どこ行ったんだ?」
フランツの目が凍ったように冷たくなる。
「な、なんだよ?」
「イベント日は今日だ」
「え? 今日、これから、行くのかい?」
フランツは大きなため息をついた。
フランツはリディア嬢と二人きりで過ごそうと思って、提案をしていた。
リディア嬢は喜んで、その案に肉付けをしていった。
途中で話が大きくなってないか?と噛み合わなさを感じていたところ、フランツは失敗したことに気づいた。〝二人きりで〟と言い忘れたのだ。
リディア嬢は盛り上がっていて、きっと楽しい1日になると声を弾ませている。
嬉しく楽しそうなので、二人きりでいたかったと言いそびれたそうだ。
「ま、でも。リディーがあんなに楽しそうだからいいんだ」
大きい口を開けて笑っている。周りのみんなもお腹を抱えて笑って、楽しそうだ。
「フランツ、勝負しようぜ」
シュタイン領の子かな。フランツの肩に気軽に手をかける。
それで僕が見えたようで、話し中だったのか、しまったと顔に書いてある。
「ビリー、受けてたつよ。あ、ビリーこっちはアダム。アダム、こっちはビリーだ」
ビリーと握手を交わす。
「手の豆、すごいな、剣をやってんだな」
ニカっと笑う。貴族と接する時の多くは手袋をしているからだろうか。
そんなふうに言われたのは初めてだ。
「君も豆すごいな」
「俺はクワでだけどな。アダムも素早そうだな。俺と〝スピード〟勝負しないか?」
「いいな、やろうか」
あっちでもD組男子とブライが対戦している。
こちらでは、シュタイン家の下の双子を交えて〝探偵〟を。
アランは〝大貧民〟をやっていて、ロビンはアスレチックにみんなを誘っている。
ブレドはおそらくシュタイン領の子たちから、お皿の上を料理でてんこ盛りにされている。
どこを見ても、なぜか笑いがこみ上げてくる。
いつも中心はリディア嬢だ。
リディア嬢は好きなもの、守りたいものがいっぱいある。
そんな大切なものたちのために、守るために、いつも突っ走っていくんだろう。自身のロマンスは置き去りにしているようだけど。
でも、そんなところが君らしいよ。
僕もいつの間にか、また君の〝楽しい〟に引き込まれていた。