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SFにおける宇宙船の戦闘について

惑星間の航行を行っている宇宙船は時速何万キロという猛烈なスピードで移動しています。
東京から名古屋なんて距離はあっという間です。

艦船を並べて向かい合って対峙するシチュエーションが有るとすれば、惑星軌道上の戦闘か、拠点の攻略戦などに限られます。

高速で移動する相手に有効な武器はレーザーです。
なにせ秒速30万キロで相手に届きます。
狙って撃てば確実に命中します。
事実、物語「遥天の使者」ではヒロインの搭乗する戦闘機は敵艦からの集中砲火を受けたとき、その全弾を浴びています。
コンピューターなどの射撃管制によって照射されたレーザーは正確に相手へ命中します。
唯一の欠点は電磁波を利用したエネルギー兵器であるので、距離が遠くなるほど極端に効果が低下することと、遮蔽物は貫通出来ないことでしょう。
効果的に相手を破壊するには装甲を溶かし、そのうえで内部構造を破壊しなければならないので、出来る限りハイパワーかつ長時間の照射が必要です。
そのためには強力な電源が必要となります。
ただしレーザーの照射時間が長いとレンズが熱膨張して集光精度が低下します。
その結果として搭載する電源出力や、レンズの性能により有効な射程距離が生まれるのです。
このような制約があるため、一般的に大型の戦闘艦ほど長射程で強力なレーザー砲が搭載可能となります。

かつて栄えたターム文明では、度重なる戦争で宇宙での戦闘ではレーザー砲に勝る武器は無いという結論が導き出され、建造される戦闘艦は全てレーザー砲のみの装備となっています。
必ず命中し、電源さえ有れば、弾薬の不足や重量に悩まされずに済みますから合理的です。

一方、地球艦隊の戦闘艦ではレーザー砲とともに実体弾が装備されている戦闘艦が主体です。
これは宇宙に進出して戦争をあまり経験していないことと、実弾への信頼が根強く残っていることに由来します。

物語「遥天の使者」は現実世界の物理法則を背景に設定がされています。
これまでのSF小説ではあまり見られない、リアル志向のSFを是非お楽しみください。

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