突発SS。

スマホのメモアプリに書きなぐった【クラン・バディ!!】の突発SS。

Twitterに載せたので、こちらにも載せておこうと思います。


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【おにいちゃん】


「ほう。そうなのか」

警察の独身寮の一室。
小さなテレビの画面を見ていたキノカが声を上げる。
昼食の後片付けを終えたミトシも隣に座った。

「テレビと会話してるのか?」
「ミトシ。今、とても興味深い話をしていた」

超ハイスペック幼女が興味深いと思う話題は想像がつかない。

「どんな話だ」
「世の男どもは、歳下の女に『おにいちゃん』と呼ばれたいらしい」

またとんでもない話をぶっ込んできた。

「それは……ごく一部の男だろ」
「ミトシは呼ばれたくないのか?」
「俺は別に」
「私が試しに呼んでやろう」
「いい、そういうのは要らない」
「遠慮するな」

キノカは向き直ると、小さな手でミトシの服の袖を掴みながら、舌足らずに言う。

「おにい……ちゃん?」

演技派幼女の渾身の『おにいちゃん』は、ミトシの理性を壊すには十分だった。

「どうだミトシ。キュンキュンしたか?」
「もう1回……」
「ん?」
「もう1回、呼んでくれ」
「いやだ」
「なんで」
「面白くない」

キノカの判断基準は面白いか面白くないか。
どうやら彼女のお気に召さなかったらしい。
それでもミトシは引き下がらない。

「どうしたら呼んでくれる」
「気持ち悪いぞミトシ」
「プリンか?ケーキか?」
「私はそんなに安い女ではない」
「……わかった。前から欲しがってたイルカの写真集を買ってやる」
「そこまでか」
「だから……頼む」

それからというもの。
キノカは何か欲しいものがある時だけ、ミトシを「おにいちゃん」と呼ぶようになった。


おわり

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2件のコメント

  • ミトシのキノカに振り回される感じが面白いですね。そういえば前に「短編を書くのはとても良い練習になる」と言っている方がいました。私もいつかショートストーリー書いてみようかな……。
  • ありがとうございます!私も楽しみながら書きました。どうしてもキノカに「おにいちゃん」と言わせたくて考えた作品です。実は以前から、「藍豆さんの書かれる短編が読んでみたい……!」と思っておりました。お時間がありましたら是非、よろしくお願い致します!
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