特に何の記念でもないのですが。
転載作業をしていてふと湧いてきた小ネタです。d( ̄▽ ̄;)
* * *
マユ
「ねぇ、セルフィス。ハティ達の母親って、フェルワンドの寵を得ようとしたって話だったわよね?」
セルフィス
「そうですね。魔獣は魔物の頂点。フェルが後ろにいるとなれば群れで逆らえる者など……」
マユ
「あ、聞きたいのはそっちじゃなくてね。ということは、やっぱり魔物は魔獣に尊敬とか憧れとか抱くものなのかしら、と思って」
セルフィス
「は? ……まぁ、そうですね。通常なら従える者と従う者、畏怖の念しかありませんが、かの者のように魔獣の存在を利用しようとした魔物もいたぐらいですから。人間の言うソレと同じとは思えませんが、中にはそういう個体もいるでしょうね」
マユ
「やっぱり! でね、良いこと思いついたんだけど!」
セルフィス
「聞きたくないです」
マユ
「聞いてってば! あのね、バイコーンとかケルビーとか、馬系の魔物のメスからユーケルンを慕う者を探したらいいんじゃないかと思うんだけど!」
セルフィス
「探して? どうするんです?」
マユ
「セルフィスに人型にしてもらって、ユーケルンと引き合わせるのよ!」
セルフィス
「はぁっ!?」
マユ
「ユーケルンはどうしたって番の処女探しを諦めないから、だったらそれを手伝ったらいいんじゃないかと思うのよね。そういう魔物をたくさん集めれば、お眼鏡にかなう子もいるかもしれないわ!」
セルフィス
「なっ……」
マユ
「言うなれば『バチェラー・ユーケルン』ね。魔物はユーケルンを慕ってる、ユーケルンも可愛い処女が好き、win-winだと思うんだけど!」
セルフィス
「ケルンは人間の女性特有の可憐さや儚さ、そして魔物には無い知性を好んでいるのであって、人間のカタチをしていればいいという訳ではないですよ」
マユ
「そうだろうけど、中には知能が高い魔物だっているでしょう?」
セルフィス
「しかもなぜわたしが変身魔法を……」
マユ
「マイヤ様やユーケルンがあれだけ完璧な人型になれるんだから、魔王なら造作ないでしょ?」
セルフィス
「そういう問題ではないです。だいたい、同じ種となれば受精が可能になりますよ」
マユ
「……え?」
セルフィス
「ケルンはとても精力旺盛ですから、二、三匹じゃ済みません」
マユ
「……」
セルフィス
「ケルンもどきの魔物が二十にも三十にもなり、ケルンの旺盛さを引き継ぐ個体がまた子を残す」
マユ
「……うっ」
セルフィス
「ケルンの本性はもともと獰猛です。彼の因子を引き継いだ魔物がそんなに殖えれば、いったいこの世界はどうなってしまうのか。一種の災厄ですよ」
マユ
「……うん、ごめん。私が間違ってたわ」
セルフィス
「理解して頂けたようでよかったです」
* * *
~数日後~
マユ
「メスの方に避妊魔法をかけるってのはどうかな?」
セルフィス
「生物のメスの本能は優秀なオスの遺伝子を貰って子をのこすというのが本来です。マユの計画に乗ってくれるような魔物なら、まず間違いなくそれが目的ですよ」
マユ
「そっかー、win-winじゃなくなるのか……」
セルフィス
「いい加減その案は諦めてください……」