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ミステリーでよく書かれる主人公の職業は、私立探偵を除けば、警察官(刑事)、弁護士、医者といったところでしょうか。どれも高度な専門知識が必要というところが共通点で、警察官と弁護士は刑法、医者はもちろん医学です。そしてそれらの知識は犯罪に直結しやすいのがまた共通点。知識を悪に使うこともあれば、善に使うこともあるわけですが。

さらに別の共通点。これらの職業は、政治に絡みやすいです。組織内の政治(勢力争い)と、政治家との結びつきのことです。これがミステリーにとって有利なのは、話を大きくしやすいところ。個人的な恨みで行われる犯罪よりは、大勢の人を巻き込んで、という話にしやすいですよね。国際的謀略まで持って行くのも簡単です。

ただ、風呂敷を広げるのが簡単なわりに、たたむのは難しいです。登場人物が多数になるはずですから、それらを書き分けないといけません。大きな話を最後にまとめるには、プロットがきっちりできていないといけません。ある程度のリアリティーを出すために、作者に広範な知識と調査(取材)能力が必要でしょう。これらを全て高いレベルで実現するには、かなりの文章力が必要です。新人にはお勧めできない(笑)。

そして、欠点もあります。話のスケールに対して、トリックが小さくなってしまいがちです。国際的謀略レベルになると、「本格」に値する複雑なトリックは望みようもないですよね。大勢の人が絡む場では、精緻なトリックを計画しても、実現性が低いのですよ。不確定要素が多すぎて。本格の場合は警察官、弁護士、医者が主人公でも、関係者の数を限る必要があります。だったら、他の職業の人が主人公でも、同じような話が成立する可能性があります。それなのに、どうして警察官、弁護士、医者が多いのか、が不思議なところです。

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