昨日の続きですが、今日読んだわけではありません。時代物でよく採用される時代は、昭和初期(戦中戦後)、大正、明治、江戸、戦国、平安かと思います。江戸時代は長いですが、まんべんなく採用されるのではなく、特定の将軍の時期に偏っている気がしますね。もちろん、統計を取ったわけではありませんので、単なる印象です。あと、今日のネタとしてはそこは関係ありません。
時代物ミステリーでよくあるのは、その時代に実在していた人物を登場させることです。実在の人物に、架空の行動を取らせるわけですね。そしてその人物を作品の中で紹介するときは(実在したわけですから)実際の経歴をもとにして書くわけです。そこは創作してはいけません(もちろん、ありそうな情報をいくつか付け加えることくらいは許されるでしょう)。で、それを短編でやると、結構な割合が「作者の創作でない文章」になるわけですよね。そして有名な人物であって、性格や行動様式もある程度知られている人であれば、描写を省略できる、ということにもつながるはずです。もちろん、イメージと一致しない言動を取らせると批判されたりはしますが、おおむね「読者が(その作品の外部にある)あらかじめ持っているイメージ」に寄りかかっていると言えます。でもそれって「作者の手抜き」ではないでしょうか?
念のためにもう一度書きますが「短編で」という限定付きです。60枚の短編でも、1枚くらいは人物紹介に使われるでしょう。有名人を出せば出すほど「創作でない」割合は増えていきます。だから「手抜き」ではないか、と。そして評価する側には「あらかじめ持っているイメージ」を割り引く必要があるでしょう。「よく知っている人物だから、面白く読んだ」という感想は許されませんよね。もし同じストーリーで、その有名人ではない人を登場人物とした場合、同じ評価にならなくてはいけないのですから。逆に厳しい目で見るべきです。「その実在人物を登場させる意義はあったのか?」と。